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猛豹、猫叉が大将棋に導入された時期(長さん)

以前のべたが、私は、西暦1300年前後の、普通唱導集で唄われてい
る大将棋の時代に、悪狼、猛豹、猫叉、石将、それにもとからの師子は、
無かったと考えている。悪狼については、前回述べたし、石将について
は、15升目にならなければ、必要が無いのは明らかである。師子につ
いては、嗔猪や桂馬で支えても、攻撃側の駒に居喰い能力があると、
(右)仲人は助からないので、普通唱導集時代の大将棋に、元から師子
が無いのは、明らかだと以前に述べている。なお、盤升目が13升目だ
と、更に歩兵が4枚減るので、130枚制の後期大将棋と、108枚制、
除夜の鐘の数の私の普通唱導集大将棋とで、駒数が22枚差になるので
ある。
 そこで残りは、猛豹と猫叉についてであるが、この2種については、
数学の定理のように、厳密には証明できないが、

平安大将棋型の猛虎が残存し、後期大将棋や中将棋型の盲虎が生成され
ていなければ、大将棋には入っていない

と私は思う。平安大将棋の猛虎の、筋を変える事のできない”不便な
動き”は、動けない、縦横どこかの隣接升目へ、少なくとも部分的に、
動けるようにするしか、改善はできない。銀将も、そのシステムで、
できたのだろう。そして、仮に猛虎が平安大将棋の、銀将の前升目では
なくて、後期大将棋のように、金将の前升目に移動したときには、隣接
升目で行ける升目数が8升目(全方向)に近いほど、玉守り駒としての
能力も上がるため、加えてそのような改善が必要とされたと考えられる。
 すなわち、ここまで述べれば判るように、後期大将棋と平安大将棋の
虎駒の位置の変化で、虎駒は猛虎から盲虎に変化したとみるのが、妥当
だと思う。酔象も、普通唱導集大将棋の中央下から2段目に、初めて
導入された当初は、シャンチーの相/象駒の動きだったのであろうが。
後期大将棋の時代には、玉守り駒としての能力が弱すぎるのに、シャン
チーを指している中国人の、ひょっとすると指摘もあったのかもしれな
いが気がつかれて、7方向動きの現在の酔象の動きに、変化したのだと
私は思う。
 そして、猛虎が盲虎が変わると同時に、虎のメスと当時言われた、
豹駒が、盲虎よりも1升目行く升目の少ない、隣接升目6升目動きの、
猛豹として導入され、元の猛虎の動きの、猫叉が、紛らわしさが無く
なったため、盲虎との並存下で、初めて導入されたのではないかと、
私は思う。ただし、普通唱導集大将棋では、ひょっとして飛龍と、
角行の動きは、どちらも斜め走りで、全く同じだった可能性もあると、
私は見ている。だから、猛虎と猫叉が、絶対に普通唱導集時代の大将
棋に、共存できないと、証明する事までは出来ないのだが。猫叉は、
普通唱導集大将棋には、加えにくかろうと言える程度ではある。
 以上により、元々師子、悪狼、猛豹、猫叉、石将は普通唱導集大将
棋には無いと、大雑把だが、理由は全て説明できたような気がする。
ようするに歩兵の4枚を足して20枚の小駒と、2枚だけの大駒が
加えられて、普通唱導集の時代の大将棋から、後期大将棋へ変化した
わけで、後期大将棋は小駒の水増し将棋と、私が評した状況は、これで、
充分に説明され尽くしたと、言えると思う。
 むろんでは、その他の後期大将棋に有る駒は、普通唱導集大将棋に
あるのかという事を、上記の議論と対比的に示さないと、モデルの
正当性の証明にはならないとは思う。最下段駒は平安大将棋から、変
えなかったからこそ、大将棋として認められたと考える事にして、特
に第3段目の、奔王、龍王、龍馬、角行、竪行、横行、飛車列がどう
かと言う事だろう。これらについては、既にこのブログでは、理由
は述べたと、私は認識している。奔王は奔横として出土、龍王・龍馬
は、蒙古の来襲のとき龍信仰が流行ったため、溝口和彦さんからは
反対されたが、既に有ると私は見る。角行は無いと普通唱導集第2節
と合わないし、横行のほかに角行を発明したからこそ、竪行、横行が
並んで存在しえるのだと思う。飛車は普通唱導集の第1節で唄われて
いる。あと残り、2段目にあると私が見る、鳳凰、麒麟は、鎌倉
鶴岡八幡宮遺跡から、出土した駒種から見て、有るし、麒麟は無いと、
普通唱導集第1節が、師子に成る元駒として存在しないと、唱導集と
は合わないため、特に絶対有ると私は見る。酔象は無いと、横行を袖
に移動させる根拠が無いので、普通唱導集大将棋にもあると私は思う。
 残り2段目の、猛虎、猛牛、嗔猪、飛龍は、12支に有る、合戦に
使えそうな動物5種のうちの4種のため、選択的に、普通唱導集時代
の大将棋には、無いものについては加えられていたというのが、私の
仮説である。なお合戦に使えそうな動物の、残り1種は、桂馬である。
反車については、普通唱導集の第1節に記載が有る。
 以上のように、除夜の鐘と同じ駒数の、私の普通唱導集大将棋モデ
ルは、2017年の電王戦第2局の直前までに、仮説の域は出ていな
かったものの、内容は充分に鮮明化されていたと、このブログでは特
に、はっきりと公にしておく事にする。(2017/05/23)

”仲人と腹を合わせ”ない、後期大将棋の悪狼の謎(長さん)

私の推定によれば、”端破りの対角角行の斜め攻めを防ぐため”、普通唱導
集に於いて、その時代の大将棋では、当たっている仲人の横に、嗔猪を袖側
から進めて、横利きを付ける事を第2節で唄っている。この将棋が後期大将
棋だと、このあと、更に仲人に桂馬で紐を付けるのが、仲人の初期位置が、
6段目であるために、困難であるという、大きな難点がある。だが、他にも
不明な点が存在する。
 そもそも、今回表題に示したように、仲人の位置に横から利かせる駒が、
嗔猪ではなくて、内側から登らせた、悪狼であっては、何故いけないのかと
いうのも、問題としてあると思う。なお、悪狼には銀将の動きとする江戸時
代の文献もあり、それだと横からは利かせられないのだが、水無瀬兼成の将
棋部類抄では、前、斜め前、横の5方向歩みなため、仲人と腹を合わせるこ
とができ、また、どちらの場合も、斜め下から仲人に紐を付ける事も出来る
ので、不思議な点がある事には変わりがないのではと思う。
 尤も、嗔猪は3方向歩み、悪狼は5方向歩みであるから、交換による得は、
嗔猪の方が上ではないかという、意見もあるかもしれない。
 しかしながら後期大将棋では、嗔猪を繰り出すのに竪行を動かすのと、
悪狼を出すのに龍馬を動かす事を比較すると、斜め動きの龍馬を、早い段階
で攻め駒として用いるようにする事をも兼ねて、悪狼を繰り出せるように、
龍馬はこのケースは動かされる事になる。そのため竪行を移動させるのと、
龍馬を初期に適所に移動させるのとでは、後者の方が起こりやすいのではな
いか。つまり私には、

悪狼で仲人に紐が付いているような陣形にするのは、嗔猪で仲人に紐が付い
ているような陣形にするのに比べて、後期大将棋では、より利得が多く、出
現しやすい陣形であるように思える

のである。なお実際には、内側で相手右角行の攻撃を防ごうという展開では、
龍馬先の歩兵が仲人よりも、先に当たることが多い。そこで悪狼と仲人が腹
を合わせるという陣よりも、後期大将棋では実際には、悪狼が龍馬の前の、
歩兵を守っているような、普通唱導集の記載とは異質の位取りに、普通はな
るように私には思える。それに対して普通唱導集時代の大将棋に、そもそも
悪狼は無かったと考えさえすれば、一例として私の13×13升目108枚
制普通唱導集大将棋では、龍馬の後ろは、前だけでなく、横にも行けない
猛虎が居るのであって、悪狼のような支えの働きは、猛虎には期待でき無い。
だから、猛虎で、無理に仲人に紐を付けるには、攻めの右角行を、動かす等、
かなりめんどくさくなる。よって、13×13升目108枚制の、私の普通
唱導集大将棋仮説なら、やむをえず竪行前の歩兵を上げた後、竪行自体も上
げ、更に嗔猪を仲人の段まで上げて、相手右角利きを止めるという展開に、
確かになり、普通唱導集の第2節に書いてある事は合っていると思う。

以上の事から、”普通唱導集時代の大将棋が、後期大将棋であった”という
説には、説明の困難な所が複数あるという点だけは、確かだと私は思う。

 なお、以前このブログでは、悪狼は”送り狼”という、妖怪の仲間のうち
で、タチが悪く、人間に危害を加える方の類の事、だとの旨述べた事があっ
た。しかし最近この私の説には、はっきりとした根拠が無いばかりではなく、
ひょっとすると、この説明は間違いだったかもしれないと、私は考えるよう
になった。
 つまり、なおもはっきりとはしないのだが、ひょっとして、悪狼とは、
鎌倉時代の末期が活躍の極であった、”悪党”という人間集団を指す単語の、
”と”を”ろ”に一音変えた、シャレなのではないだろうかと、私は思う
ようになったのである。つまり、

悪狼は実は、意味合いとしての”横行(人)”の類語ではないかという事

である。それは、平安大将棋の横行の初期位置と、後期大将棋の悪狼の
初期位置とが、何れも中央筋、ないし、それに近い所にあるという、共通
点があるためである。なお、その他の根拠としては、江戸時代に製作され
たものであろうが、大局将棋で、悪狼の成りを”毒狼”という、最後の音
を伸ばさないと”髑髏”になるような名前を成り駒につけ、シャレている
ように見える点を、挙げる事ができると思う。ようするに、

悪狼は、升目が13×13升目から15×15升目に拡張された直後に、
中央部に空きができたために、横行が、中央位置にかつて、二中歴の平安大
将棋の時代に有ったという故事にちなみ、その同義な駒として、3段目の
中央筋から3つ目に、後期大将棋の作者によって加えられたのではないか

という事である。もともと、どんな将棋種でも、その升目数のままで進化
を続けてゆくと、中央部から駒が埋まって行き、中央部には古くからの駒
が存在し続け、新たな駒種を考えなければならないのは、大概は袖の方の
駒のケースが多いはずである。そもそも中央列は、横行が袖に移動した後、
酔象がその位置に加えられ、一旦はそれで収まったはずであった。しかし、
後期大将棋では、升目を急に15升目に増やしたため、その直前の進化で、
中央部に、空きができてしまったのではなかろうか。それで、もっともら
しい駒で、空升目を埋めなければならなかった、ような事情があると思う。
 つまり、後期大将棋では、先祖帰りあるいは、いにしえにちなむような、
後で考えて追加したように、かなり疑われる悪狼という駒が、中央部に
存在する。そのため、この将棋が15升目になったのは、それが成立する
直前だったのではないかと、匂わせているような気が、私にはするのであ
る。(2017/05/22)

佐藤天彦名人対ポナンザ、2017年電王戦第2局(長さん)

昨日につづいて、電王戦について結果を含めて、簡単にのべる。
 人間不利と言われた電王戦の第2局は角替わり戦となり、中盤、両者駒組み
がしっかり進んだ状態で、佐藤名人の▲5五歩の仕掛け後、激しい闘いとなっ
た。60手前後を過ぎたあたりで既に、コンピュータが若干有利と言われた。
が、ポナンザにしては素人目、今回は、攻めに激しさが、対エルモ直接対局
よりは無いようにも思えた。実際90手前後で、コンピュータ側が龍王を、
実は余裕で撤収したところで、93手目、名人からコンピュータに対して、
王手が掛かった。この93手目の王手は、情報を聞いて一瞬は、結果はとも
かく、私にはなぜか泣けるほど、うれしいかったように、記憶する。”あの
ポナンザを相手に、人間の方が先に、王手ができた”と思ったからである。
 しかしその直後、ポナンザが△4四金と、金を打って、王手を回避した
ところで、94手で名人が投了してしまった。良く見ればポナンザの玉は、
金・銀5枚で守られており、名人が、馬を逃げれば、銀が取られて持ち駒に
なり、作ろうと思えば金銀6枚の堅陣になってしまい、人間側は、攻略でき
る状態では無かったのであった。結局この対局は、事前の予想通り、
コンピュータが日本将棋では、名人を越えたと、はっきりと言える一局で
あった。2017年5月20日日本時間の、19時35分頃。こうして、
日本将棋については、新しい時代に、本当に入ったように私には思われた。
(2017/05/21)

人間棋士対コンピョータ最終電王戦第2局(長さん)

2017年5月20日は、日本将棋連盟の棋士で、第74期から
名人位の佐藤天彦名人と、コンピュータ将棋ソフトポナンザの、
佐藤名人が先手で、姫路城で行われる電王戦第2局の日となった。
五月晴れの暖かい朝だった。なお、

過去、同年4月1日、日光の東照宮で行われた、ポナンザ先手の
第1局で、ポナンザが先勝という経過である。

 前年2016年の、人間叡王対ポナンザの2局、そして今年の
対佐藤名人の第1局目が、全てソフトの大差勝ちだったため、
「佐藤名人が勝つのではないか」とはっきりと書くサイトは、
もはや余り、見当たらない状況になっていた。
 ただし3日前に行われた、第75期名人戦7番勝負第4局で、
佐藤名人は稲葉挑戦者に勝って、2勝2敗のタイに持ち込んでい
たので、対ポナンザ戦には、心理的に気を良くした状態で、臨め
たのではないかと思う。むろん、第2局に負ければ、ゲーム界で
は、囲碁に続いて日本将棋でも、コンピュータソフトが人間の
頂点に達した事を、今度は公に、はっきりと証明する事になって
しまうため、プレッシャーは、相当なものに違いない。
 なおマスコミ特にテレビでは、この時点では、名人対コンピュー
タの対局よりは、将棋に関しては、藤井聡太現四段の、対プロ棋
士公式戦18連勝の方が、大きく取り上げられていた。これが、
長い目で見て、本筋に沿った報道なのかどうかについては、私に
は現時点では良く理解できない。何れにしても未来を予測する事
は、口ではいかにも出来そうだが、当事者となってみれば判る通
り、とてつもなく困難な事である。だから、”先読み”の語源と
なった、将棋棋士のこれまでのたいへんな努力に対しては、万が
一現時点で、誰もコンピュータソフトには勝てなくなったとして
も、これからも、深い敬意を払うべきであろうと、私は考えてい
る。(2017/05/20)

”普通唱導集大将棋を考える事の意味”の数値化(長さん)

前に、普通唱導集大将棋が、後期大将棋と異なる点は、西洋チェス型の
改善を平安大将棋に対して行ったか、私に言わせると後期大将棋のように、
中将棋という言葉を説明するための、形式的なゲームの作成だったのか
という違いである。そのため、後期大将棋は、小駒で水増しされてしま
っているので、攻めに主として用いられる走り駒等の大駒が、中盤で
枯渇してしまい、日本将棋が出現すると、全くゲームとして太刀打ち
できないと考える。このブログでは、上記の趣旨は述べたことがあったが、
数値で示したことが無かったので、今回は以上の事を、簡単な数値で
示してみる。
 各将棋種について、隣接升目にしか動かせない駒を小駒と定義する。
ただし、この定義ではたとえば、桂馬が小駒にならないのに、注意しなが
ら以下考えよう。そこで、「大将棋は、西暦1300年程度の、
普通唱導集の大将棋までは、西洋チェス型の改善が、行われる流れだった」
という事を、示すため、西洋チェスをリファレンスとして、日本の各時代
の将棋の、以上で定義した、小駒の割合をチェスとで比較すと、以下の表
のようになる。

将棋種    一方駒総数 小駒数 小駒外比率(%)
西洋チェス     16   09   44
原始平安小将棋 16   12   25
平安小将棋    18   14   22
平安大将棋    34   25   26
普通唱導集大将棋54   28   48
中将棋       46   26   43
後期大将棋    65   41   37
摩訶大大将棋   96   57   41
日本将棋      20   14   30
中国象棋      16   08   50

なお、細かい事を言うと、摩訶大大将棋の盲熊は将棋部類抄の動きを採用
し、小駒でカウントしている。
簡単な棒グラフで、強い攻め駒割合を、グラフで示すと次のようになる。

小駒外割合.gif

一目して、平安大将棋の後継が、仮に非小駒割合37%の後期大将棋だと
すれば、西洋チェスの攻撃力に届かないうちに、チェスより少し攻撃力が
足らないのを、師子に関する特別規則の作成で補ったと見られる、中将棋
に移行した事になるので、

”大将棋の現代的な意味での存在の意味は薄い”ということになりかねない

と私は考える。だが、普通唱導集大将棋が存在すれば、非小駒の割合は、
西洋チェスを明らかに超えるので、そのオフェンス力は、西洋チェス並み
に、強かった”出来の良いゲーム”という事になろう。
なお、ここでは、普通唱導集大将棋は、酔象がチャンチーの象で2走り駒
で非小駒、また同じく2走り駒の猛牛を入れて総駒数、108枚(一方に
54枚)のバージョンで、カウントしている。もし3月以前の104枚制の、
旧バージョンを採用すると、約44%となり、やっと西洋チェスに届く数
値になるだけである。だが、108枚制だと、酔象も猛牛も非小駒なので、
数値上は、楽にチェスを越える。
 なお、上のグラフで言うまでも無い事かもしれないが、現代日本将棋は、
非小駒割合30%と、西洋チェスより、ずっと低い。が、持ち駒ルールで、
それを充分に、挽回しているのである。また、中国象棋は、数値上では、
西洋チェスおよび日本の将棋より、非小駒割合が高いが、この将棋のこの
数値は、言うまでも無いかもしれないが、兵駒を4枚減らした結果こうなる
のであり、特別である。実際にはチェスの女王や僧侶にあたる、強い走り
駒が無いため、中国象棋の攻撃力は、そのままではチェスより劣り、9宮に、
玉駒の動きを封じ込める事によって、ディフェンスを弱くして、ゲーム調整
したものと考えられる。
 何れにしても、”普通唱導集に唄われた大将棋は、後期大将棋ではない”
という事が、より直接的に示されないと、西洋チェス型駒数多数将棋が、
本来の日本の昔の駒数多数将棋だという事にならず、日本で大将棋系列
の再興は困難であろうと、私は見ている。
 何か良い史料が見つかるか、既存の史料の研究がより進むか。遊戯史の
発展をただただ祈るしか、今の所無いように私には見える。(2017/05/19)

第75期名人戦第4局と電王戦2番勝負第2局は3~4日差(長さん)

 2017年の人間のプロ将棋棋士、佐藤天彦名人対、コンピュータ
将棋ソフトポナンザの、2番勝負の第2局目は、5月20日に、
姫路城で行われると聞く。実はその間、佐藤天彦名人は、第75期名人
戦7番勝負で対局中であり、その第4局目は、電王戦でポナンザと
戦う、4日前から3日前の、2017年5月16日から17日に行わ
れていた。この事実は、コンピュータ将棋対人間の対局史で、記憶し
て置くべき

人間にとって、たいへん不利な日程であった

と私は、個人的には考える。もともと、電王戦というのは、その初期
には、2017年の対局のように、システム化されてはおらず、ときの
日本将棋連盟の会長、米長邦雄永世棋聖が、単発で、富士通技術者
伊藤英紀氏が作成した、クラスター型のコンピュータシステムに、将棋
ソフトを実装した、「ボンクラーズ」と対局したのが始まりだった。
なお、こんな事は、2017年の現時点では、書いても当たり前と、
見られるだろうが、100年先、200年先を見越して、この弱小個人
ブログでも、念のため記録して置くことにしたい。
 ところで、将棋プロの米長邦雄永世棋聖が自分で、率先してコン
ピュータ強豪ソフトと対局する少し前に、自身が特任教授を勤められて
いた、北陸先端科学技術大学院大学の、東京のサテライトオフィスで、
自身の対ポンクラーズ対局の、宣伝会のような雰囲気に、私には感じら
れた講演会をされた事があった。
 そのとき私も、のこのこ会場にでかけて行ってそれを聴講したが、
そのとき米長永世棋聖から口頭で聞いた話に、名人として具体的に、
羽生善治三冠を名指しし、

 現時点で日本将棋連盟が名人を、対コンピュータソフト対局に出場
させる事があれば、名人は、他の対局を1年間休業して、コンピュータ
対策をする事になるだろう

と、述べられていたのを記憶している。実際には1年は、米長邦雄元
連盟会長独特の講演話法で、オーバーだと私は個人的には当時から思っ
ていた。だが、さすがに名人は1カ月位は、他の棋戦はやらないで、
対コンピュータソフト対策に、専念するものなのだろうと、話を聞いて
思っていた。それは言うまでも無く、機械に人間の名人が、絶対に
負けるという事があってはならないためと、その時点では、普通に
考えられていたためである。が、現実には、

1年どころか、佐藤天彦名人が対コンピュータ対策として、直前
連続して集中できたのは、今回わずかに2日であった

というのである。どうしてこういう日程で名人戦を、今年はする事
になったのか、私には良くわからないが。名人戦の第3局は今年は、
ゴールデンウィークに行われ、佐藤天彦名人は3連敗は、幸か不幸か
喫しなかったため、第4局の終了時点でも、最悪はカド番であり、
名人位を、失う結果にはなっていなかった。実際には佐藤天彦名人
が、稲葉陽八段を第4局は下して、タイに持ち込んでいる。(これも、
誰もにとって今は当たり前だが、来世紀以降の歴史研究者のために
記しておく。)
つまり、

名人戦第4・5局が、今年は5月末から6月頭程度に、集中して行わ
れる日程で仮にあったとしても、さほどの支障はないように、個人的
には思えるのだが、実際には10日余り、第3局と間を置くだけで
等間隔に、第3局目につづいて、電王戦対ポナンザ第2局の直前に、
対人名人戦4局目が、岐阜県の長良川温泉という、比較的アクセス
にも労力の要る地方で、行われたのである。

素人目には、本来なら対コンピュータソフト対策の、追い込みの
時期にも見える3~4日前に、名人戦7番勝負自体が行われると
いうのは、佐藤名人にとっては、かなりきつかったに違いないと思
える。私は現時点で、

コンピュータプログラムの穴を見つけて、先手番では5月20日に
は佐藤天彦名人が、ポナンザに、必ず勝つと信じている

が、万が一、先手でも大差負けするような場合でも、この日程に
ついては、覚えて置くようにしたいものだと思う。それにしても、
日本将棋連盟の、名人対コンピュータソフト戦の扱い方に関する空気
が、ボンクラーズの時代と今年とで、なぜこんなにも変化してしまっ
たのか。あるいは、人間の洞察力を駆使した事前の対策が、功を奏す
る局面ではもはや無く、棋戦をやりつづける合間に、対局して、
「読みに関して佳境に入った勢い」で、対コンピュータ対局をした
方が、人間にとって有利と、プロの将棋連盟には判断される、時代
に、阿久津主税八段対局の電王戦finalの時代から、佐藤名人の
対局の時代との2年間の間に、あっという間になってしまったという
のか。つまり、現時点では「コンピュータソフトに、穴が有るとは、
考えられない時代」に入ってしまったのか。一昔差にもならない、
初~中期電王戦と、対コンピュータ対局最終期とも聞く、今の電王戦
の取り扱いとの落差は、かくも極端だと、私には感じられるのである。
(2017/05/18)

33×33升目730枚制中局将棋の提案の残り(長さん)

前回末尾にちらりと述べたが、紹介した730枚制将棋の最大の
欠点は、このままでは玉駒が最下段の中央部に3枚あるように、
見えることである。何故なら、最下段、段番号9は、歩み動きな
ため、師子型の踊りはできず、中央3枚は同じ駒である。

そこでこの将棋では、ど真ん中駒と両脇の駒のうちのどちらでも良
いから1枚、計2枚を取り除き、残りの一枚を最下段ど真ん中に
移動させた上で、仲人を、2枚から4枚に増やすのが良い

と、私は思う。もともと、玉周りが詰まっていると、生き埋め
詰みを喰らうので、このような配列にする対応を取るのが得策と
見るからだ。ちなみに、仲人の位置は端列から5列目の、横升目の
動きしか加えられなかった、摩訶大大将棋の猪型動きの駒の列と、
中央から5列目の、前回、悪狼型とのべた駒の列あたりで、良い
と考えている。これで、玉駒横が1升空きになるが、12段目に
仲人が4枚になるので、計730枚の将棋になる。
 さて、次には、各駒の動きの”型”が、走りなのか、踊りなの
か、また、前進できるようにするため、最初に加えた前動きの、
内容を、正確に決める必要が有る。このへんは、ゲームの性能を
左右するので、試行錯誤で良い方法に決定するまでに、一番考える
のに時間を要する部分だ。ともわれ結果を書くと、次のようで
良いと見られる。

最初に加える、前または斜め前の動きについて。
3,4,5,6段(実際の7、6、5、4段)のときが∞走り、
その他は、その段の別方向の動きと同じ数になる動き。
ただし段番号4段(実際の6段目)に関しては、次の特例を作る。
その駒がもともと、9段(実際の最下段)が成って、4段(実際の
6段)に相当する駒になったケースだけは、∞の前方向走りについ
て、それだけでなく、自駒は幾つでも飛び越せ、相手駒も2つまで
跳び越してその向こうへ行け、さらに2つまでの跳び越した相手駒
を、ひっくり返して自駒に変え、更には成らせる事も自由にできる
とする。(最下段成り駒の跳び越しオセロのルール。)

横位置の2進法の番号で下、斜め下等が決まる動きの性質について。
2段(実際の8段)が跳び、7段(実際の3段)が踊り、
その他は上限数のありえる、通常の走り。

つまり、10段のうち両端2段づつを除いて、下の3段目から、
踊、走加、走加、走加(特例あり)、走加、跳、と規則的にして、

小駒、走り駒のバランスをとったわけである。
以上で、この将棋はゲームとしてルールは決まったと思う。ルール
を覚えるとして、後期大将棋程度の煩雑さのレベルではないだろう
か。が何分、駒の名称が、番号なのが気になるかもしれない。駒名
は、次のように既存の将棋種に傾向を合わせて、とにかく行ける場
合を○で表したときに、次の名前になるように固有詞(イミナ)を
適宜つけると、よいのではないかと、私は考える。
すなわち、個別の列部のイミナ部分24種(+中央1種)を、

位置 前斜横斜後 固有詞(備考)
00奇 ●○●●● 車(例外ルールによる。)  
01奇 ●○●●○ 瓦・馬(下5段につき適用)
02奇 ●○●○● 猫
03奇 ●○●○○ 猿
04奇 ●○○●● 鶏(和将棋)
05奇 ●○○●○ 犬(和将棋) 
06奇 ●○○○● 熊(大局将棋等)
07奇 ●○○○○ 虎
00偶 ○●●●● 車(例外ルールによる。)  
01偶 ○●●●○ 土・馬(下5段につき適用)
02偶 ○●●○● 烏(う)
03偶 ○●●○○ 蛇
04偶 ○●○●● 猪(摩訶大大将棋等)
05偶 ○●○●○ 牛(2升目の場合) 
06偶 ○●○○● 狗(古典将棋に例なし。)
07偶 ○●○○○ 龍
08  ○○●●● 鉄  
09  ○○●●○ 銅
10  ○○●○● 銀
11  ○○●○○ 豹
12  ○○○●● 狼
13  ○○○●○ 金 
14  ○○○○● 象
15  ○○○○○ 玉
16  ○○○○○ 獅(中央駒。不正行度で踊る)

とする。
なお、前・横・斜め後ろ動きの駒が無い事については、故溝口和彦
さんが、何回か指摘されていた。ここでは、使われるが、意味の良
くわからない、狗の字を、仮に置いてみた。
次に、段がどこかによって、この将棋では修飾詞(通字)を付ける
ことにしてみる。付け加えられる修飾詞(通字)は、計10段につ
いて、一例では次のようになると思う。
実際段 (段番号)通字(書き順)
13段目~中間段
12段目 仲人段
11段目 歩兵段
10段目( 0段)奔(先)
 9段目( 1段)王(後)
 8段目( 2段)飛(先)
 7段目( 3段)大(先)
 6段目( 4段)兵(後)・ただし1段目の成り駒だけは軍(後)
 5段目( 5段)猛(先)
 4段目( 6段)走(先)
 3段目( 7段)踊(先)
 2段目( 8段)曹(後)
 1段目( 9段)将(後)
なお、このゲームでは、イミナ(固有字)の付け方の規則上、成り駒
のイミナが、元の駒のイミナとの間で、(瓦と土)、(猫と烏)、
(猿と蛇)、(鶏と猪)、(犬と牛)、(熊と狗)、(虎と龍)、
この組み合わせそれぞれの範囲内で、入れ替わるケースが3通りある。
やむ終えない所であろう。
 以上、駒の名前については、私が仮につけただけなので、ゲームの
性能とは、本質的には関係ないと思う。特に通字の選び方は、任意性
が大きい。何れにしても、名前はおかしい所があれば、付け方を変え
ても、特に支障は無いだろう。(2017/05/17)

33×33升目730枚制中局将棋の提案(長さん)

 今年の1月3日頃に、升目数一辺100万で駒数1兆枚の桁になる、
将棋を提案した事があった。駒の座標から、動かし方のルールを計算
するのが、結構やっかいだったように記憶する。最近、異制庭訓往来
の”大きい将棋で、1年の月日の数にちなむ”という節をぼんやりと
口ずさんでいるとき、365は駒の総数ではなくて、一方が持つ駒の
総数に変え、駒の総数は2年分にしたときに、33枚升目、自陣
11段程度の将棋は、さほど覚えにくいルールにしなくても、比較的
簡単に、作れるのではないかと気が付いた。一番本質的な事は、

33の1/2が16近くで、中央列を例外にすれば、左右対称前うご
きの可能小駒の、種類総数24種に関連する数になっているという事

である。
 端列を番号0から初めて2進法で、1の位は後ろ升、2の位は斜め
後ろ升、4の位は横升、8の位は段が偶数割り当てなら斜め前升、
8の位は段が奇数割り当てなら前升として、offは行けない、
onは段の割り当て数に応じて、何らかの数や型で行けるとして、
駒の動かし方ルールを決めてゆけば、覚えるルールが、実質少量でも、
730枚制将棋を、人間が覚えて指すのは、さほど困難ではないと、
思うようになった。なお、将棋一般の形に合わせるため、上で0番に
ついては、どこもONにしないのではなくて、前方向に、必ず∞走り
を加える、1番については、「何らかの数」が具体的に1か2の弱い
駒の場合には、後ろにONを加える代わりに、桂馬跳びを加えた方が
良いという、例外規則が要るようである。
 さらに、自陣が駒一方365枚割り当てだと、段が11段前後に
なるというのは、上で述べた”onは段の割り当て数に応じて、ある
数や型で行ける”の「ある数、型」の決め方も、さほど難しくない
事を示唆している。

もともと、11段目は、普通に歩兵を加えるし、12段目には、
365枚割り当てでは、余ってしまう仲人を入れるつもりであるから、
問題は残りの10段だけである。

そこで、たとえば1段目から10段目まで、9、8、7、6、5、
4、3、2、1、0と、逆順に番号を振る。このケースは第十段目が
駒動かし方ルールを決める基準番号の0段になる。なお、この数が、
2で割り切れるときには、前升目には「動ける」を当てておき、
1余る場合には、斜め前升目に「動ける」を当てる。つまり、奇数番
号段は前角型の動き、偶数番号段は竪行型の動きのできる段である。
そこで、この将棋では上段は強い駒を、下段には小駒や、最下段中央
に玉駒を置くデザインとする。

またこの将棋では、いずれの場合も、N走り、N跳び、N踊りなら、
このケースは、1,2,3,4・・・N-1,N各々動きができる、
動きに許容範囲の多い将棋とする事にして、

すくなくとも、列番号に応じて加えた”onで段の割り当て数に応じ
て決める、動きの数”の”動きの数”を、以下の計算式で決める。

動き数(四捨五入)=12/動き方のルールを決めるための段数

つまり、10段目、9段目、8段目、7段目・・・で、動きの数は、
    無限大、12、  6、  4、  3、2、2、2、2、1
になるのである。
たとえば、3段目で中央から5列目の駒は、2升目まで行ける悪狼の
ような動きの駒になる。ただし、今の所、

斜め前の動きが怪しいし、動かし方も、跳びとも走りとも、決まって
はい無い。

 それと、中央列が動かし方ルールの列番で、16列番になるため、
ルールが実は不確定である。
 上の問題は、解決方法がいろいろあると思うが、たとえば、中央列の
駒は、

動かし方が、その両脇の駒と同じだが、師子の踊りができるとすれば
良いと思う。

この将棋ではこのように、師子型の駒を片方に約10枚のオーダー
加える事により、面白さを出すゲームにして良いだろう。
 そこで次に問題になるのは、成りである。
 成りの条件は、100万升目でも、33升目でも、

駒を取るか、敵陣に入っているか、その列筋で5升目以上、2番手
自駒を離して、前に出ているかの、いづれの場合でも成れる(任意)。
ただし、最後のケースで、その列筋に自駒がないケースも、その駒が
3段目に達すれば動かしたとき、成れるとする。(駒一枚列の特例)

程度で、良いと私は思っている。
そこで、次は個別に、どの駒が、どう成れるのかである。この将棋では、
次の計算式の段と、同じ駒に成るで良いと思う。ただし、ここでは実際
の段数が1,2,3,4,・・・段について、9,8,7,6,5,・・
・・0、歩兵段、仲人聖目外段、中間段・・・と、番号が付いている、
後の方についての、計算式である点に、注意する必要が有る。

成り先の対応駒の段(マイナスなら0)=その段-2-
(その段)4乗÷2500

ここで、”その段の4乗÷2500”は、計算結果を合わせるために、
適宜考えた付加項であり、大意は無い。

 0、1、2、 3、4、5、6、7、8、9を代入すると、
 0,0,0, 1,2,3,3、4、4、4となる。つまり順に
 ∞、∞、∞、12,6,4,4,3,3,3動きである。

たとえば、ナンバー0段、実際の10段目の奔駒に当たる駒列の成りは、
このケースは、不成りを意味している。その他の列も、次のような例外
があるが、このゲームでは別のより強い駒に、成る事を意味している。
なお、歩兵はと金、仲人は奔人で、良いと私は思う。
なお、何を玉駒にするのか、まだ書いていないが、玉駒は特別に、
不成りとしたい。
残りの問題は、玉駒をどうするかとか、今述べた「動き」を正確化する
こと、駒名が、番号ではわかりにくいが、なんとかならないかという
問題である。これについては、今回は長くなったので、次回に述べたい
と思う。(2017/05/16)

コンピュータソフト”エルモ”ポナンザに勝つ(長さん)

 2017年の電王戦対コンピュータソフト対局2番勝負の第2局目
まで、1週間を切った。ところで、テレビでは余り報道されないが、
webで注目されている将棋関連の情報として、先だってゴールデン
ウィークに、神奈川川崎市で行われた、第27回世界コンピュータ
将棋選手権で、今佐藤天彦名人と対局している、コンピュータソフト
のポナンザが、エルモというコンピュータソフトに、優勝決定対局で
負けて、2位になってしまったという話が、かなり広まっている。
 棋譜のプロ将棋棋士増田康宏四段の解説を、結果だけ横取りして書
くと、後手のポナンザが先制攻撃を掛けたが、エルモ側にきわどく
シノぐ、▲7八玉と玉カワしの手があったのを、ポナンザが25手位
前に”珍しく”見逃したため、エルモにシノがれて、反撃の上入玉さ
れて、負けたらしい。

同じ条件で人間に、その見落としが気づけるかどうかは謎であるが、
ポナンザにも、見落としがある場合があるというのに私は驚いた。

 何れにしても、棋力が人間より相当上であると、ブロ棋士が評する
コンピュータ将棋ソフトが、1種だけでなくて、トーナメント表を
私がざっと見て、話も聞いた限り、3つ位はあるというのは、かなり
人間にとって、厳しい現状かと思う。ちなみに、5月13日には、
早稲田大学で、27回コンピュータ将棋世界選手権の”結果検討会”
があったようだ。何かわかれば、追加でこのブログでも、書きたいと
思う。
 今の所、人間で対コンピュータ、イメージ上でも土付かずという将棋
棋士の例としては、プロ棋士の中でもレーティングが高いと聞く、
豊島将之七段が上げられるだろう。藤井聡太四段の「快進撃」が、
こちらの方はテレビで大々的に報道されている。が、非公式戦ながら、
藤井聡太四段は、このあいだ、豊島将之七段と対局して、負けてしまっ
たと、「連勝記録には関係ない」との”付け加え”とあわせて同じく
テレビで報道されていた。だが、

「対コンピュータ将棋対局は、今度で終わりなので、たぶん実現しな
いが、藤井聡太四段なら、コンピュータと仮に対局したなら勝てる」
という夢を、つかの間でも見る為には、この間の対豊島将之七段との
非公式戦には、藤井聡太四段に、少なくともなんとか勝ってほしかった

ような気が、私にはした。(2017/05/15)

中将棋等の横行の成り駒「奔猪」のルールの謎(長さん)

前々回問題にした、普通唱導集の大将棋の時代から大将棋の駒として
存在すると私がした嗔猪と関連する駒で、奔猪という駒がある。
水無瀬兼成の将棋部類抄の、摩訶大大将棋では、嗔猪の成りが奔猪に
なるので、嗔猪と奔猪が元駒と成り駒の関係になる場合がある、という
事である。
 実は、中将棋の成り駒が作られたときに、中将棋に無くて大将棋に
ある嗔猪の成りを、奔猪にするという思考の流れの他に、

横行の成りを奔猪にするという、中将棋のゲーム設計がなされたため、
奔猪は猪に関連性の無い、行駒の成り駒になるという、摩訶大大将棋
の奔猪とは別族の駒が並存する結果になった。

 その結果、動かし方のルールは、この駒だけ2系統できてしまったと
みられ、横行の成り駒としての奔猪は、横と斜めの6方向に走り、
摩訶大大将棋と泰将棋と大局将棋の嗔猪の成り駒としての奔猪は、
前と横の3方向に走りか、前・斜め前・横の5方向に走りと後ろへ一歩
下がれる、等のルールになったと見られている。これは、恐らく嗔猪に、
後ろへ後退できないバージョンが有るのと、関連するのだろう。
 なお、奔猪が中将棋で横斜めの6方向走りになった影響か、大局将棋
の嗔猪が、”横と斜めへ計6方向歩み”に変化したようであるが、その
成り大局将棋の奔猪は、5方向走りと1歩後退で、ちぐはぐである。
理由は私には良くわからない。
 ここで、はっきりそうだとまでは言えないのであるが、中将棋で、

左右にも前後にも対称的な動きの奔猪になっているのは、普通唱導集大
将棋の嗔猪の動かし方のルールが、前後左右一歩で、同様に左右前後、
対称型になっている事の証拠かもしれないと、私は考えている。

理由は、元駒の横行が竪行と、明らかに対になる駒であり、竪行の成り
が中将棋では飛牛、横行の成りが奔猪になっていて、私の普通唱導集大
将棋モデルでは少なくとも、猛牛と嗔猪とは、隣同士だからである。
私は中将棋は、私のモデルの普通唱導集大将棋から作られたと考えて
いるので、中将棋の成り駒名が、私の言う普通唱導集大将棋の駒から
取り入れられるのは、自然と考えている。猛牛の方が嗔猪よりも強い
から、竪走りの竪行の成りが優先して牛駒になり、横行の成りが、猪駒
になったのかもしれないと、私は思うのである。そして、冠詞の飛、
奔は、飛車や奔王から、適宜取り入れたのだろう。
 ところが、飛の方は良いとして、奔の方は、摩訶大大将棋の成り駒の
名前の付け方と、バッティングしてしまった。その混乱が、2系統の、
奔猪となって現れ、結果として、増川先生の本で紹介されている版は、
松浦大六氏所蔵とみられる将棋図式では、摩訶大大将棋の下3段以下
小駒で、

奔駒に成らずに、不成りなのが、嗔猪一種だけという結果になっている

ようなのである。つまり上記将棋図式では、既に中将棋で示した奔猪は、
横行の成りとして考えられたものであって、摩訶大大将棋の嗔猪の成り
としては使えないという、将棋図式の著者の認識があり、また、この
著書の中では、同一駒名・別種将棋で、別の動かし方の駒を作るという
のを、恐らく嫌がった結果、将棋図式の摩訶大大将棋の嗔猪は不成りと、
特別にされたように、私にはこの将棋書を読むと考えられるという事で
ある。(2017/05/14)

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