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牛僧儒の玄怪録のキャラクターは何故一文字ではないのか(長さん)

牛僧儒の玄怪録に象棋型のゲームを連想させるものがあり、中国で
唐代に、シャンチー・チェス型のゲームが、存在したと主張される
根拠になっている。ところでそのキャラクターは、二文字以上で表現
されているが、これが象棋を、暗々裏に表現しようとしているとして、
一文字駒のシャンチーと異なるようにしたのは、何故なのかと言う点
を問題にする。結論を書くと、

玄怪録は南詔のゲームを基にして、書かれた物語であるから

だと、私は考えている。前回述べたように、長安には吉備真備の指し
た、シルクロードにより伝来した、イスラム・アッパース朝の、シャ
トランジが既に有ったと、私は考える。もともとは外来の将棋とは言
え、このゲームの駒は、王、将、象、馬、車、兵と、その当時までに、
一文字で漢訳されていたはずである。しかし、玄怪録の下敷きになっ
た象棋は、それをボカすにしても、漢字を2文字にしなければならな
い、特に理由は、本来は無かったのではないだろうか。にも係わらず、
そうしている所からみて、周辺部とはいえ、唐からは、外国と見なさ
れる国の、駒名を漢訳すると、少なくとも一部が2文字になる象棋型
のゲームを、表現しようとしているので、そうなっているのではない
かと疑われる。なら、どうして周辺国のゲームで、怪奇物語を造った
のかと言えば、私は

牛僧儒とその一派は、南詔と吐蕃に興味が有ったからだと思う。

 牛僧儒は、唐王朝内部で政治のリーダー格であり、政敵李派との間
で、彼とその派閥が、唐王朝内部で長い抗争を行った事で知られてい
る。特に牛僧儒自身は、吐蕃と唐との抗争の過程で、一旦和睦が成立
したあと、吐蕃に属した諸侯の一つが、唐王朝に寝返りを申し出たと
ころ、吐蕃の仕返しを恐れたのか、吐蕃と裏で繋がっていたのか、ま
た平和主義者だったのかは、私には判らないが、その諸侯を編入して、
唐の領土を広げる決定に、反対した一件で、知られる人物である。
つまり牛僧儒は、吐蕃および、その緩衝国だったとみられる、

南詔国等に対し、融和的な政策を提唱していたのではないか

と、私は思う。
だから、著書で象棋を紹介するときにも、吐蕃・南詔の文化を宣伝
するような、内容の物語を製作しても、特におかしくないのではない
かと、私は考えるのである。
 ちなみに、この一旦確定した吐蕃と唐との国境を、吐蕃内の特定諸
侯の裏切りを利用して、ハンコにするのを止めた政策は、少し後に、
唐の皇帝により否定的に評価され、牛僧儒自身が一時的に退けられる
原因になったと、web上でだけだが、私は聞いている。唐代牛李の
派閥抗争が、それについてだけ、詳しく書かれた日本語の成書は、
新書の書店の店頭レベルでは、あまり置かれてはいないようである。
 なお、玄怪録のこの象棋物語の出だしに、上で紹介した将棋駒モド
キの意味に使われる単語とは別に、”金象将軍”という単語が、出て
くる。以下私見であるが、この単語の使われ方の内容は、将棋を表現
しようと意図していないのかもしれないが、ひょっとすると、

南詔国の将棋型ゲームには、唐代から”金将”という名称の駒が、
有ったという事を、たぶんうっかり示唆しているのではないか

と私は疑っている。今まで何回か述べた大理国と南詔国は、ほぼ同じ
所に成立した、王族は互いに別族の国家だったらしい。だが、雲南省
大理県が、鉱山地帯である事には変わりが無いから、大理国の将棋の
名称に近いものが、南詔国の時代からあっても、特に不思議ではない
ように私には思える。
 中国全土としては、南詔国のように鉱山地帯ばかりではないから、
”金将”という名称の駒が使われる象棋は、主として雲南省で指され、
吉備真備の主として滞在したと見られる、長安では、指されなかった
のではなかろうか。つまり国際都市で指されている、象棋の将駒に、
”金”という形容詞を、わざわざ付ける理由が、無いのではないかと
言う事である。
 つまり吉備真備の将棋話をも仮に信じるとすれば、玄海録の存在か
ら見て、

”中国には古くから象棋が有った”どころか、少なくとも2種以上の
有力なゲームが唐代には並立して、方々で興じられていた

と、我々江戸時代の遊戯史研究者の善意を信じる者は、かように結論
して、中国の遊戯史学会等と接するのが、より優れるのではないかと、
私には思えるのである。つまり吉備真備が入唐時に、将棋を指した話
に関する江戸時代の記載は、少なくとも外国人には「空説」と、現時
点で余り強調して、説明しない方が、むしろ良いのではなかろうか。

そうしてしまうと、日本の遊戯史研究者の言う事は、時代は現代と
江戸時代とで別々とはいえ、どちらも同じ、日本人の言う事だから、
両方アテにならないという事なのではないか

と、外国の人間からは内心思われる恐れも、多少はあるのではないか
と、私は心配しているのである。(2017/06/05)

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