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大大将棋は”習字用の手本”が用途かもしれない(長さん)

古将棋のルールブックを、文献ごとに比較すると、大将棋までは、駒の
動かし方のルールに関して、文献間差が少ないのに、駒数の急激に増加
する、大大将棋から急に目立ってくるのに気が付く。ところが、水無瀬
兼成の将棋部類抄の、巻物同士を比較すると、たとえば将棋図式(松浦
大六氏所蔵)と、将棋部類抄の適宜な1つの間に大差があるにも係わら
ず、同じ将棋部類抄の巻物同士、たとえば水無瀬神宮所蔵の一巻かと
思われる、島本町教育委員会編集「冊子/象戯図」の将棋部類抄と、
加賀前田家文書の中に含まれる、国会図書館にマイクロフィルムで閲覧
可能な文書とみられる、例えば岡野伸氏所蔵の、将棋部類抄コピーとの
間の、大大将棋表面の駒の動かし方のルール差は、極めて僅かである。
具体的には、島本町教育委員会将棋図で、馬麟の右斜め前の点は1個だが、
国会図書館にあるとみられる、マイクロフィルムの将棋部類抄の、馬麟
の右斜め前の点は2個であって、駒192枚のうち、動きの説明の無い
歩兵等は除かれるが、差は、今述べたわずかに1箇所だけである。なお、
駒名の字体が、白虎と猛虎について、虎が島本町のでは、”席”に見える
ような別字体になっているが、マイクロフィルムのは普通の虎である。
 つまり、将棋部類抄の現状保管の4巻について、大大将棋の駒の動かし
方のルールが、巻物間でほぼ等しいにも係わらず、将棋部類抄を
元ネタにしたとみられる、江戸時代の将棋文献の、大大将棋に関する駒
の動かし方ルールに、大幅なフレが随所にあるのは、どういう事情なのか
というのが、今回の論題である。結論を先に言うと、残念ながらこの点に
関する証拠を、まったく挙げる事ができないのだが、推定される回答は、
次の通りである。

江戸時代に一時的に、水無瀬兼成の模写、又模写物が、かなり大量に
存在した。そのため、孫、ひ孫の模写物では、かなり駒のルールを示す
文や打点が、多くは消えたり、時として間違って打たれたり、表現され
たりした。江戸時代の将棋本は、情報の出所がはっきりしないものを、
根拠とした事が多かったため、恐らく、水無瀬の現行保存文書が、
オリジナルに近く、江戸時代の将棋本のルールには、誤記が多い

のではないかと、私は疑う。
 一例を挙げれば、大大将棋の猛熊は、前へは行けないとの認識が強い
と私は理解しているが、水無瀬/将棋部類抄では、前に打点があり、大
局将棋の猛熊の動きになっている。これは、模写する間に、

点を打ち忘れる事が、多いため

だと私は思う。
 このような事が起こるのは、模写物の打点がけっこう、曖昧な文書
が、江戸時代に大量に出回り、どれが正しいのか、判りにくい状況だ
ったからではないのだろうか。
 また、大大将棋の青龍は前後に踊り、関連駒の白虎は前後は走りで、
左右に踊りが、通説だろうと私は認識する。しかし、将棋部類抄では、
青龍が前後走りで、白虎が左右走り前後踊りであり、これも大局将棋
のルールと同じで、通説と反対である。この例は、伝承中に勘違いで、
たぶん逆転したのであろう。
 なお、大大将棋に関しては、水無瀬兼成の将棋部類抄を見ると、
大大将棋のオリジナルとおぼしきルールに、次の問題が有る事に気が
付く。すなわち、

駒名が違っても、動きが同じになってしまうようなルールに関して、
細かい気配りが、余り感じられない。
 例として、飛車、走車、方行が全く同じ縦横走りである事や、
東夷と西戎、南蛮と北狄が、全く同じ動かし方のルールになっている

ことをあげることが出来る。大局将棋はこれを踏襲したのだが、他の
江戸時代の文献の大大将棋では、打点が抜ける事を逆用して、東夷と
西戎、南蛮と北狄のルールを変えたり、配列から推定して、飛車、
走車、方行のルールを、互いに違うように後2者を変えるという、
”工夫”が凝らされていると、私は認識している。逆に言うと、

もともと大大将棋は、駒種がなるべく多種類ある事に、意義があった
のであり、ゲーム性を、さほど重視していなかったのではないか

と、将棋部類抄が、もともとのオリジナルであるとすれば、私には
疑われるのである。原因は、

大大将棋は、習字の手本に使うという、別の用途があった

ということが有るのではないのだろうか。これに合理的なゲーム性を、
付け加えようとして、江戸時代になってから、将棋本でルールに関して
変化が起こったのではないかと、疑われると言う事である。
 なお、水無瀬兼成の本人の作と、私は疑う泰将棋は、盤駒を美術品
にするのが、作成の目的だったのではないかと疑う。従って、ほぼ中世
からある将棋で、本来のゲームの目的で作られたものは、

小将棋、中将棋、大将棋、天竺大将棋、摩訶大大将棋

の5種類だけであるように、私は疑っているのである。(2017/10/25)

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