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大将棋の猛牛駒。鬼門の番以外に、雲南の牛の意味も兼ねる(長さん)

さいきん、”旅行のクチコミと比較サイト フォートラベル”という
webサイトに、雲南省昆明にある、雲南省博物館の2018年1月
訪問の感想を述べた記事が載っていた。記事を書いたのは、
”メイリン”という匿名の女性で、それによると、

雲南省博物館には、動物として牛の絵画、および牛の彫刻が多く、
雲南省では、牛が重要視されている事が伺える

との旨ある。
 なお本ブログでは、雲南省博物館の展示物のカタログの中では、崇
聖寺三塔出土の、ネフライト、金、金銅、銀、銅、鉄、陶磁、土製等
の仏象を大きく取り上げている。これらの遺物についての、前記トラ
ベラーの言及は無い。おそらくカタログとは異なり、小型である上に、
雲南省博物館内では、比較的地味な展示になっているのであろう。他
方、雲南省博物館からはカタログが、書籍として、日本でも出回って
おり、その中には、唐代以前の、牛を闘争動物種とみて、虎等と闘う
彫刻等が何件か、図版で収録されている。以上のように、カタログの
内容については、以前に本ブログでも紹介した事があった。
 しかし、現在の現地の展示で、牛が目立つようになっているとまで
は行かないとの印象を、私はカタログからは持っていた。これは、実
際に現地へ行った方だけに判る、

とてもありがたい情報

である。というのも、前に諸橋徹次著の大漢和辞典(1958)で、
”猛”の字を引いたときに、

猛のつく、雲南省の土司の名として、25氏も載っていた

のが気になってたからである。具体的に書くと、次の25氏である。

猛阿、猛烏、猛佳、猛角、猛夏、猛紀、猛洪、猛興、猛遮、猛丁、
猛邦、猛卯、猛板、猛豊、猛猛、猛蜜、猛郎、猛喇、猛蝋、猛龍、
猛旺、猛衣仏、猛乃村、猛野井、猛拉太。

ちなみに、土司とは、とどのつまりを書くと、漢民族以外の中国国内
の少数民族の豪族の、氏の事である。つまり日本流だと、武田氏とか、
上杉氏というのが、雲南省では猛阿氏、猛烏氏、・・・である。
 ただし、これだけでは、雲南省では”猛”のつく豪族ばかりが、住
んでいたとまでは言えない。しかし幸いwebには、雲南省の、ある
地域の土司の、リストが載っているサイトがある。それによると、
雲南のある地域には、

普、思、茅、普滕、茶山、猛暖、猛捧、猛臈、整歇、猛万、上猛烏、
下猛烏、整董、

という豪族が、清朝の頃に居たとある。13氏のうちの6氏に猛が着
いているから、雲南の豪族は50%弱が、”猛○”氏であって、

雲南は昔、”猛の国”と日本で言われていても、不思議ではない状況

だったとみられるのである。なお、前記の諸橋徹次著の大漢和事典に
は、

雲南省以外の土司で、”猛”の付く物は、実は一つも載って居無い。

 つまり、もうお判りのように、大将棋系の駒の猛牛に関しては、
”猛虎と共に、鬼門を守る動物”という意味のほかに、

猛牛には、猛の国雲南で重要視されている、闘争動物としての牛の事

とも、読めるのである。
 実は、以下が最も重要である。すなわち、

日本に中国雲南の、土司の名が紹介されたのは、西暦1360年以降

のはずである。というのも、南宋の時代までは、雲南には大理国が
有ったので、中国の王朝が、土司を指名した事が、無いのである。つ
まり、中国王朝で、雲南に対する土司政策が発生したのは、モンゴル
帝国、元王朝時代の、1360年以降のはずだからである。
 つまりこの意味も、”猛虎の対”の意味とは別に、ひっかけて、
将棋の駒の、猛牛が発生したと仮定すると、

将棋の駒の猛牛が出来たのは、だいたい西暦1360年以降である

と、確定してしまうと言う事になる。本ブログでは、何回か前に述べ
たように、猛牛は西暦1374年の、第一回の蒙古来襲の少し後の頃
までには、存在したのではないかと言う事になっている。これき恐ら
く蒙古来襲で、鬼門を守る必要が出来たので、猛牛と嗔猪を、猛虎と
飛龍へ加えて、4獣による守りとしたという事であろう。
 残念ながら上限(新しい)は、これだけでは不明だ。が普通唱導集
の大将棋には、同じ鬼門の守りの嗔猪が、もっと前からある、猛虎と
飛龍に加えて確かに有って、実際に唄われている訳である。だから、
嗔猪を入れると同時に、猛牛も入ると仮定すれば、

猛牛の導入上限(最も新しい)は西暦1300年に確定

する。

つまり、冒頭の雲南省博物館の情報は、猛牛の導入年を、
西暦1260年から西暦1300年までの、約40年程度に絞ること
を可能にする

という、実に将棋史研究家にとって、ありがたいヒントを含んだもの
なのである。よって日本のトラベラーによる、各国観光地の紹介の、
webへの書き込みが、今後益々盛んになる事を、私も心より願いた
いと、考える所以である。(2018/04/23)

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