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和名類聚抄の”珍賓”リストと将棋将駒とは類似(長さん)

前に述べた通り、10世紀、西暦938年頃成立とされる、和名類聚抄
には、将棋という項目が無いという事で、良く知られている。双六こま
等ゲーム器具の名を、そのゲームとは別に別項で記載しているのが、
百科辞典として類似の、和漢三才図会や古事類苑と、少し違うところだ
が、そこにも五角形の駒は記載されていない。先行研究は、高見友幸氏
の考察等幾つかあると見るが、”術芸”の所で、将棋を疑わせるという
議論で、今の所、成功した例は無いと、私は見ている。
 ところが、和名類聚抄には、全く別の場所だが、宝石・貴金属のリス
トが並んでいる、”珍賓”という項目がある。10巻物と20巻物とい
う、版で分類名に違いが有り、より原版に近いと見られる和名類聚抄の
10巻物では、分類名が”八.珍賓”となっていると言う事である。
 ここで問題なのは、その項目でリストされている中身であり、

主な物を一言で言えば、平安大将棋の将駒の玉と貴金属リスト、および、
鉛と錫と、水銀と、ほぼ表現できるものである。

なお厳密に言うと、玉については和田玉以外に真珠が載っており、貴金
属には、そのものと、その貴金属の屑という項目が別に有る。最後に、
オマケのように、”貨幣”を珍品に含めている。また、和田玉と真珠の
玉2種類に続いて、水晶、瑠璃、雲母、珊瑚、琥珀、瑪瑙といった、鉱
物が書かれてもいる。ただし、和田玉までが”珍賓”のメインのように、
大体は見えると思う。そこで今回は、なぜ、
この和名類聚抄の”珍賓”リストが、将棋、特に大将棋の将駒の玉・貴
金属と、主な内容の中身が近いのかを、論題とする。
 回答を最初に書く。
 中国北宋商人の恐らく周文裔が、本ブログで西暦1015年の年初と
推定される時期に、九州の博多経由で、結論的には朝廷の、後一条天皇
に贈呈した、原始平安小将棋(8升目32枚制、象省略型)の将棋具は、

代表的な”珍賓”と認識して、北宋の周文裔が日本側に引き渡した物品

だったためであるからだと考える。なお、彼が珍賓と見た、他の贈答品
に孔雀が居る事は、藤原道長の日記等に、実記録が残っていると、認識
する。
 では、以上について以下少し、補足する。
 まず、和名類聚抄の分類”八.珍賓”に書かれた内容であるが、その
ものと屑とを、区別しないとすれば、”主力”は、

金、銀、銅、鉄、鉛、錫、水銀、玉(の類計2種類)

と、私は認識する。鉛と錫と水銀を除けば、

将を付けると、平安大将棋の駒になる。
従って、素材が木ではなくて、玉将はこのケースはネフライトの彫り物、
金将および、各駒成り金は純金の彫刻品、銀将は純銀の彫刻品という
黄金の将棋具が、もし実在するとすれば、

和名類聚抄が、中国語の翻訳辞典だと見なせるため、日本人が見ても、
北宋の商人が見ても、その将棋具は代表的な”珍賓”そのものである

ことを、和名類聚抄には確かに示されているのだと、少なくとも本ブロ
グでは考える。たとえば周文裔が、日本側に珍賓を引き渡そうと物品を
捜索した場合、和名類聚抄の中身が、中国人にとっても常識だったとす
れば、

金、銀、・・・玉が素材の物品しか、彼の頭の中ではイメージしないと、
ほぼ断定できるという事を、示している

のではないかと私は思う。つまり、珍品として珍鳥の孔雀しか、西暦
1015年の年初に、持ってこないと言う事は、

前年春の、日本の内大裏の火災による、貴金属の熔融欠乏が、そもそも
交易の動機とすれば、ほぼ有り得ない事

であろう。何らかの金、銀、・・・玉が素材の物品が、西暦1015
年に、博多経由で、内大裏の住人である後一条天皇に、中国からもたら
されたというのは、ほぼ自明であると言う事なのではなかろうか。なお、
大鏡の記載から、それが、例としてコマが挙がる”遊戯具”に、分類さ
れる物である疑いが、非常に大きいと考える。
 一般的認識では、藤原氏全盛時代に取引された”唐物”というと、多
彩だが、従って、

”珍賓というカテゴリーに限定すると、玉、金、銀、銅、鉄が代表であ
る”と記載されたに等しい、和名類聚抄のこの情報も、我々将棋史家に
とって、相当に重要

なように、私には見える。なお、玉以降の記載を除いた貴金属の記載、

金、銀、銅、鉄、鉛、錫、水銀・・は、貨幣を除けば、言うまでも無く
化合物ではなくて元素

である。もし、五行説にこだわらずに、和名類聚抄に、「この世界は、
金、銀、銅、鉄、鉛、錫、水銀等の根源元素が化合して、出来上がって
いる」と書かれていたなら、現代の世界の科学技術界にも、驚きの目を
持って見られていたことだろう。不思議な話があるものである。
(2018/07/25)

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