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元禄時代1651年の仏書「類雑集」の平安小将棋記載が物語るもの(長さん)

増川宏一氏の法政大学出版局(1977年)の、ものと人間の文化史
23-1、「将棋Ⅰ」に、江戸時代の平安小将棋の記録という、ウル
トラ・レトロゲームの記録の話が出てくる。前記著書には、仏書の
「類雑集」(1651年)に、「将棋は駒数36枚で、一方は悪神の
18、他方は善神の18と書かれている」と紹介されているのである。
これは、平安小将棋が、平安時代だけでなく江戸時代まで、存在して
いたゲームであるという、裏付けという意味であろう。平安小将棋が、
平安中期~室町時代、西暦1500年まで、主流の将棋であったとい
う、増川氏の論の、補強史料の一つという事である。
 そこで今回は、この仏書の類雑集のこの記載は、何を物語るのかを
論題にする。結論をまず書く。
類雑集は、中小の寺で著作された仏書とみられる。よって、寺院には、
それが規模の特段大きいものでなくても、その時代から見て、

150年程度前の文化財が存在するのが、寺というものの通常の姿

であると推定できる事を、示していると考えられる。
 では、以上の結論につき、以下に説明を加える。
 まず「類雑集」は、お経の本であろうが、たいへんマイナーである。
 webによれば浄土真宗の蓮如に関連するらしいが、私には、その
webの記事を読んでも、時代の関連性が理解できず、意味が良く判
らない。研究者が稀に論文を書いているが、内容は公開されて居無い。
 仏書解説大事典(縮小版 1999年)大東出版社、小野玄妙編集
のような書籍を当たっても、この本は、宗教に関する学科のある大学
の、2~3の図書館に蔵書が有る事が指摘されているだけで、内容に
関する解説はいっさい無い。なお、仏書解説大事典には8万程度の、
仏典や仏教成書が紹介され、注目度が高いものに関しては、内容の
あらましが、解説されている。つまり詳しい成書である。「類雑集」
は恐らく、法事の実務のために、中小の寺院で、江戸時代の
西暦1651年に作成された、その場限りのお経だとみられる。東京
の中央区築地の本願寺にも有るらしいが、関連性は良く判らない。
 何れにしても、その中に平安小将棋の記載が有ると言うことは、
そのお経が製作された、

当の中小寺院には、西暦1651年より見て、150年前の、
西暦1500年程度の、将棋に関する遺物が有った

と推定されると私は思う。他方、京都の大寺院である曼殊院には、
西暦1590年代の時点で、少なくとも摩訶大象戯に関する記載のあ
る、それより150年前の、西暦1443年程度の、将棋図が残って
いた事は確かである。従って、この2つの事柄から、

一般に寺院には、その規模の大小に関係なく、その時点からみて、
150年程度以前の史料が、眠っているという事が、良く有る事だ

と推定できるのではないか。これを、現在西暦2018年に置き換え
ると、

西暦1868年の明治維新程度の文化財が、適当なそのへんの寺には
あると言うのが、普通の姿だ

と言う事にもなろう。ただし、明治時代の将棋史については、記録が
多いため、誰にも余り注目されず、そのまま、多くが眠ったままとい
う事なのであろう。実際、栃木県栃木市星野町に、事実上の廃寺で、
規模は小さい大応寺という寺があるが、管理不能で、寺の物置を、地
元の業者が取り壊した、今から10年位前に、

寺の庭に、油を使う照明器具が、明治時代の年号の入った墨書付きで、
放置されていた

のを、私は眺めてから、通り過ぎた記憶がある。今から500年後に
これが発掘されたら、その時代の地元の市史にでも載るのだろうが。
明治時代は新しいので、発掘遺品状の、事実上の廃寺遺品を見ても、
明治時代の物だと私を含めて、誰も見向きもしないようである。

ようするに、水無瀬兼成は、たまたま京都の曼殊院と繋がりがあり、
当時はかなりの数で残っていたはずの、室町時代後期~戦国時代早期
程度の将棋史料のうちの一つ、曼殊院将棋図を清書したにすぎない

のではないかと、疑われるという事である。
 なお増川宏一氏が、仏教書大事典の数万の仏書を当たり、類雑集を
発見したのかどうか、私は本人等から確認していない。仏書というも
のには、表題に事実上、特定の漢字しか現われないという特徴・性質
がある。例えば「じょう」だと、”浄”という漢字で始まる、浄土経
関連の仏書ばかりであるというような事である。従って、仏書の表題
の最初の文字で、将棋の事が書いてあるかどうか、ある程度見当が付
くものと、私にも予想できる。たとえば、

”類雑”という言葉で始まる仏書はこれしか恐らく無く、かつ、雑芸
について書かれていそうな表題なので、増川氏も念入りに読んで、将
棋の記載を発見した疑いがある

と私は思う。逆に言うと、ありきたりの表題の、マイナーな流仏書に、
将棋の記載が有る可能性も、全く無いわけではないかもしれない。
 が”類雑集”のマイナーさ、かげんを見て私も、

これを発見した増川氏は、実際には仏書をどの位調べたのだろうかと、
興味を持った

事も確かである。(2018/09/28)

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