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安土桃山時代における、大将棋の飛龍と中将棋の鳳凰の差(長さん)

 安土桃山時代に書かれた、将棋部類抄の中将棋の図後
のコメント部によれば、「中将棋の鳳凰の斜め四方向の
動きは、飛(跳)越(超)えであって、後期大将棋の図
で2つの点を打った飛龍の斜め動きとは、例えられない
ほどに違う」と言う。さて、
今まで私が述べた考えが正しいとすると、鳳凰は、西暦
1300年より少し前に、普通唱導集大将棋に現れた駒
で、安土桃山時代の中将棋と同じく、斜めは跳び、それ
に対して飛龍は、後期大将棋では猛牛と隣接して配置さ
れている事から、この時点では斜め四方向それぞれの動
きについて、踊り駒であると推定される。詳し比べてみ
ると、
斜め4方向で、鳳凰と飛龍どちらも対応する方向の動き
について、以下比較する。すると、
①着地は空き升目か、相手駒升目で可能でかつ、相手駒
升目である場合には、その相手駒を取って進むのは、
歩み駒、走り駒、踊り駒は共通なので、鳳凰と飛龍で
共通であり、踊り駒も、跳び駒も、間の駒を、跳び越え
るケースが存在するという点では共通である。
②鳳凰も飛龍も、間の駒が自分の駒でも相手の駒でも、
跳越える、通常の跳び越え型と新式の踊り型だったとみ
られる。

③ただし、鳳凰だけ途中の相手の駒をぜんぜん取れない。

飛龍は、跳び越えた駒が相手の駒なら、取らなくても良
いし、取っても良いというルールだったと考えられる。
④鳳凰は、一手で2升先の斜め升目に跳ぶ跳び駒と認識
されるが、
飛龍は、斜めに一定方向に、元の位置から遠ざかるよう
に、隣接升目に一歩づつ移動する、踊り駒と認識される。
ただし、方向は対応する4成分のそれぞれについて、
互いに同じ方向で、あり続ける。
⑤鳳凰は斜めは跳びなので、Uターンは無い。
後期大将棋では、
飛龍もUターン無しの、正行度の踊り駒だったと考えら
れる。
⑥鳳凰は跳びであるから、隣接斜め升目へは移動できな
い。
飛龍は踊り駒であるが、この時点で2升目だけ踊りと、
踊りの数限定型の踊り駒だったと考えられる。従って、
隣接斜め升目へ行けない点では、鳳凰の斜め動きと
同じだったと思われる。

つまり、以上をまとめると、鳳凰だけ途中の相手の駒を
ぜんぜん取れない点だけが違うだけで、その点だけ
指摘すれば、

互いに「相手の動きのように」と例えても、罰は当たら
ない程度の微差だろう

と私は認識する。
実は飛龍は、その発生が平安大将棋からで、定説では、
その時点で角行の動きだとされている。(異説もある。)

なお西暦1300年の普通唱導集の大将棋の時点で、
飛龍はまだ走りだと私は考えるが、良くわかっていない。

例えば、普通唱導集大将棋の時点で、平安大将棋の猛虎
の動きの二回繰り返しで、私の言う「古式麒麟の踊り」
とは違って、2回目にはカーブしないまっすぐ斜め動き
と、考えようと思えば、考えられないでもない。
もし、そうだとすれば、この直線的猛虎2回動き古式
西暦1300年ころ踊り時代の飛龍と、
後期大将棋、西暦1580年ころ安土桃山時代の正行度
飛龍とを比較すると、

②が相手駒だけから、自駒でも良いに変化、
③が昔は強制取りだったが、任意取りに変化、
⑥が隣接斜め升目へ、昔は行ける、1つか2つの踊り
 だったが、1つのケースは禁手となった。

と、3箇所変化した事になる。
また、折れ曲がらず猛虎2回の方が、正行度2踊りより、
鳳凰との差が大きい事もわかる。これだけからすると、
昔をこっそり思い出して、水無瀬兼成が、「この2者は
とても違う」と、目くじらを立てて見せたようにも思え
る。
ただ、そうだとすると、13×13升目104枚制の1300年
の大将棋の場合、①飛龍は2段目2列に置かざるを得ず、
隣が端側に反車、内側に嗔猪となって、元ネタの猛虎
から3升目離れている点に不自然感が残る。また、
②2升目動き系の駒が、麒麟と並ぶのは自然だが、
平泉遺跡の出土駒が不成りとなっている以上、いまの
所、飛龍は、大将棋の歴史の中で常に不成りと仮定
せざるを得ず、成りがより、強い踊り駒になるような
工夫、たとえば(仮称)古式動きの「白象(ただし縦
横隣接升目へ行けない)」に成るといった記録が無い。
③徳島県川西遺跡から出土した、奔横駒が示唆する
ように、1250年の川西駒の大将棋の時代には、私の
説によると、横行、猛虎は2段目に並存していたはず
で、大将棋の2段目に、2升目動き駒を集めなければ
ならない、強い根拠が見あたら無い、
以上、3つの点から、私は「猛虎2回直線動きの飛龍」
という駒は、存在が疑わしいのではないかと、今の所
考えている。
そもそも、安土桃山時代の後期大将棋の正行度踊り駒
の飛龍と、平安大将棋の走りの飛龍とは、動きがぜん
ぜん違うから、水無瀬兼成が、跳びの鳳凰と比較する
飛龍として、走り時代の飛龍の昔をこっそり思い出して、
「この2者はとても違う」と、目くじらを立てて見せ
たとしても、このケースはおかしくないのかもしれな
い。ちなみに、走り駒時代の飛龍と跳びの鳳凰は、

①着地は空き升目か、相手駒升目で可能でかつ、相手駒
升目である場合には、その相手駒を取って進むのは、
歩み駒、走り駒、踊り駒は皆共通。
②鳳凰は、間の駒が自分の駒でも相手の駒でも、
跳越えるが、走り駒はどの駒も全く跳び越えられ無い。
③鳳凰は途中の相手の駒をぜんぜん取れない。走り駒は
跳び越える駒が無いので、間の駒を取ることがない。
④鳳凰は、一手で2升先の斜め升目に跳ぶ跳び駒と認識
されるが、走り駒の平安大将棋の
飛龍は、斜めに一定方向に走る駒である。
ただし、方向は対応する4成分のそれぞれについて、
互いに同じ方向では、あり続ける。鳳凰には3升目先
から先への動きが無いが。
⑤鳳凰は斜めは跳びなので、Uターンは無い。
走り駒もUターンはしない。
⑥鳳凰は跳びであるから、隣接斜め升目へは移動できな
い2升目先だけ、1ケースだけ可能。それに対し、
この飛龍は走り駒であるから、2升目どころではなく、
その方向が空き升目なら、1~14升目まで制限無く
走れる。2は含むが1も3~14も、場合によっては
全部含まれる。また、別の自分の駒が有れば、極端、
隣接升目にも進めない。相手の駒の向こうへも行けない。

となる。言うまでもないだろうが、動かす方向が、
斜めで一緒という点が、同じなだけである。
 何れにしても、水無瀬兼成らしき著者が、間駒取
りの有無程度の差にすぎない、新式正行度2踊りと、
1升目跳びとを、意外なほどに「大差」と評している、
この記載部分については、いっけんして不思議な記述
として、記憶にとどめておきたいと私は常々思って
いる。(2016/12/03)