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チャトランガルール、ユディヒシュティラとヴィアーサの38条より推定2(長さん)

前回に引き続いて、インド・チャトランガのルールを38条で記載したと
される、表題の、南インドのクンティ国の王子、ユディヒシュティラと
ヴィアーサの、11世紀以降の、ルール・ブックの解読を取り上げて
みる。今回は、前回省いた、カタカナ・ヒンディー語の説明文となってい
る条文を取り上げる。なお、出典は、前回同様「ものと人間の文化史110
「チェス」増川宏一著(2003年)」である。番号は、便宜上私がつけ
た。第4条まで前回は書いたので、第5条以下から始める。

5.王を獲得するには、シンハーサナ、またはシャトラージとよばれる方法
を用いる。そのためには他のすべての駒、すなわち象さえも犠牲になる。
6.もし王が他の陣地の升目に入ったならば、彼はシンハーサナを獲得した
といえる。
7.彼がシンハーサナを得たときに、もし彼が相手の王を取ったならば、
彼は2倍の賭金を得る。陣地に入っただけならば、賭金はシングルである。
8.もし彼が、彼の同盟者の王位につくならば、彼はシンハーサナ扱いを
得て、両方の軍隊の指揮を引き継ぐことになる。
9.もし王がシンハーサナを探し求めるならば、6つの升目を動き、彼の
王は守られているにしても、危険である。
10.もしあなたが、あなた自身の王を持っていて、他の王達を取るならば、
あなたはシャトラージを獲得する。
11.もしあなたが、あなた自身の王を持っていて、他の王を詰んで殺せば、
シャトラージを獲得し、あなたは2倍の賭金を得る。単に取った場合は、
シングルの掛け金である。
12.もし王が、他の王達を、彼ら自身の升目で詰んで殺したならば、彼は
賭金が4倍になる。
13.もし同時にシンハーサナとシャトラージが可能ならば、後の方の価値
を選ぶ。
14.もし歩兵が、王の升目と四隅の升目を除いたコーナーの端に達した
ならば、彼は升目の駒の力を受け継ぐ。この手順はシャートパダとよばれる。
15.もしシャトラージとシャートパダの両方を得たならば、当然シャトラー
ジを選べる。
16.もしプレーヤーが3つの未だ端に達しない兵を残している場合、彼は
シャートバタを得ることができない。
17.反対に、もし彼が舟の側にただ一つの兵が居るならば、それは、
ガーダーと言い、彼にとっては重要な升目を進む駒ではない。
18.もし盤上に駒が無い時は、カーカカシューターといい、ゲームの終わ
りである。
19.もし相手の兵のシャートパダによって、五番目の王が作られたとき
は災難である。彼の動ける駒は殺されるであろう。
20.もしカーカカシューターとシンハーサナが同時に起こると、後者が勝
り、シンハーサナを許してしまった彼の取り分は計算されない。
21.四つの舟を取った時はヴィハンラアウカーとよばれる。
なお第22条については、前回のべた。

なお、条文はより判りやすいように、一部に日本語に翻訳済みの出典の内容
を、私が一部手直ししている。厳密に再調査される方は、より原典に近い文
献を、あたられるよう、お勧めしておく。
ようするに結果を先に書いてしまうが、上の第5条から第21条までに出て
くる、6種のカタカナのゲーム用語は、私見だが、順に以下の意味かと思う。

A.シンハーサナ:王が相手の王の列に到達する事。どうぶつしょうぎの
”ライオンのトライ”の感じである。
B.シャトラージ:相手の王を通常の手段で、サイコロの運に任せ、味方の
駒で取る事。または相手に、自殺手しか指せないようにする事。両者で配点
が違う。
C.シャートパダ:兵が相手陣奥で成る事。
D.ガーダー:歩が四隅の筋に居て、そのまま進んで桂馬動きの馬に成った
としても、身動きが取れなくなるだけだという事。
E.カーカカシューター:盤上、王以外の駒が残っていない状態。全部裸王。
F.ヴィハンラアウカー:その局内で相手側舟を4枚取る事。3枚プラス、
成り兵の舟かもしれない。

以上を置き換えると、ゲームは王が残っていても、その他の駒が無くなれば
終わる事(第18条)や、4人制なので、同盟者が王位を譲れる事(第8条)、
前回述べたが、兵が相手の駒の初期位置で、その相手の駒に成れる(第14条)
等が述べられている。が、これらの条項から、初期位置や駒の動かし方等、
”基本ルール”に影響する内容は、余り無い事が判る。
 ただし、兵の成りのルールが4人制だとすると、盤端は半分が空升目なの
に言及が無い事、王の升目では成れない(第14条)はずなのに、2人制の
大臣(副官)の位置に達したと見られる場合に、”第5の王”に成るという
記載がある(第19条)等、

2人制チャトランガのルールを援用したために、上記”四人制チャトランガ
のルールブック”には一部に、矛盾が起こっているのではないかと、疑われる
箇所がある

ようである。前回、1段目の駒の並びが、馬、象、車、王ではないかと述べた。
が、第17条には端列と思われる場所が、実際には”馬の側”のはずなのに
”舟の側”と、恐らく誤って(第17条で)記載されている。その事から、

二人制チャトランガでは、車(舟)、馬、象、王の並びだったのを、
四人制チャトランガでは、馬が左側の敵王に1手で当たるように、
馬、象、車(舟)、王に変えている。第17条では、その事を忘れたために、
馬と舟とを、間違って書いてしまっている

可能性があるような気が、私にはしてならない。なお、更に第19条から
察するに、

二人制インド・チャトランガの大臣駒は、和将棋の熊目、大局将棋の毒狼、
大大将棋の近王のような、8方歩み駒か、それに近い駒であって、
日本将棋の金将に性能近く、アラブ・シャトランジの後期大将棋の猫叉動
きの侍従駒大臣等からは、種類がより遠い駒である

とも、推定できるように思う。以上結論を再度述べると、
四人制インド・チャトランガの基本ルールは、前回述べたもので正しい。
それは2人制の駒初期配置を、少し入れ替えて、残りのルールのつじつま
を、互いにあわせたようなものだったのでは、ないのだろうかと、私は思
っているという事である。(2017/09/10)

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