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芦田正次郎著”動物信仰事典”(1999年)の動物類と日本の将棋(長さん)

表題の、㈱北辰堂の成書、芦田正次郎著”動物信仰事典”(1999年)
と、大局将棋までの日本の将棋種類に有る、動物種を比べてみると、
魚類とされた、鮑、鰯、海老、オコゼ、貝、鰹、金魚、鯉、子安貝、鯛、
蛤や、虫類とされた、蟻、優曇華、蚕、蝸牛、蜘蛛、玉虫、蝶、トンボ、
腹の虫等、明らかに戦力にならない動物は別であるが、他は大局将棋まで
に有る、動物駒と、ほとんど中身が一致している事が判る。
 なおこの本には、鳥の類には鳳凰、金翅鳥が入っているし、鬼形類とし
て、鬼、風神、雷神、夜叉、羅刹、天狗等を加えている。更に獣類には、
当然のごとくに、獅子と狛犬と麒麟が入っている。
ようするに日本人の感覚では、身近に有る、動く生き物は、ほぼ信仰の
対象になり、それは、日本の将棋種には、ほぼ全て加えられていると、言
うことである。なお、この本は、最も遅く見積もっても

少なくとも唐代には完全成立していたとされる、中国古代、三国鼎立時代
の、呉の陸幾の著作と伝わる”毛詩詩経草木鳥獣虫魚疏”を真似ており、
それに、日本人の一般的な、信仰対象動物類を、著者芦田氏の知見により、
集積したもの

のようである。目次を眺めると、まるで将棋駒の駒種のリストを、見てい
るように私には思える。誠にお見事である。
 従って、あるいは

大大将棋や摩訶大大将棋の作者の方は、陸幾(王へん)の著作と伝わる、
”毛詩詩経草木鳥獣虫魚疏”の動物リストを参考に、駒名を考えている
可能性がある

ようだ。
なお、芦田正次郎著”動物信仰事典”(1999年)に含まれる動物類で、

日本の将棋類に無いが、駒にもなりそうなありきたりな”動物”類として、
河童と鯰

もある。これについては、動物信仰事典の中で、1712年成立の、

”和漢三才図会に、河童については、『川太郎という妖怪が、西国には
居るが一般的でな』く、河童の項目は無い。また鯰については、『鯰が
地震を起こす』という説は書かれて居無い”

と、紹介されている。河童が著名になり、鯰が地震が起こるときに、騒ぐ
のに、日本人が気がついたのは、18世紀からなのかもしれない。恐らく
その事は、18世紀頃の大局将棋のデザイナーも知っていて、どちらも、

江戸時代の人間にとっては、最近の話

と、当然思っていたのだろう。そのため、河童は将棋駒に加わらなかった
し、地震を起こすという修飾詞を持つ鯰駒を、大局将棋に加える事も、
実際には無かったのかもしれない。その際参考までに、大局将棋のデザイ
ナーは、ひょっとすると和漢三才図会の記載を、チェックしたのかもしれ
ない。つまり和漢三才図会は、将棋史研究にとって、必須の文献であると
同時に、

大局将棋のゲームデザイナーが、新たに加えた将棋駒種の妥当性について
チェックする際にも使用した文献

なのかもしれないと言う事だと、私は動物信仰事典を読んで解釈した。
(2017/12/16)

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