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中将棋、先獅子の規約。岡崎史明氏記載と、中将棋指南抄の優劣(長さん)

西暦1970年頃に発行された、将棋棋士で亡くなられた、岡崎史明七段
の”中将棋の指し方”には、獅子の規則という名称で、(A)から(C)
という項目名で、中将棋の”駒の動かし方の制限規則”が記載されている。
 他方、ものと人間の文化史23-1の将棋Ⅰにも、元禄時代の文献で、
中将棋指南抄に書かれた、”駒の動かし方の制限規則”が、”イ”から
”ホ”の項目名で、記載されている。
 実は両者を比べると、

説明の順序と、”つなぎ駒の付いた獅子を獅子で取るメイン規則”の表現
は、岡崎史明氏の記載の方に、正確さの点で軍配が上がる

と、個人的には見ている。たとえば、獅子は隣接升目の獅子を取った後、
何処に逃げても、相手の駒で取られてしまうような、走り駒が交錯して
利いているような場合は、それも禁手なのではないかと、私は疑ってい
るから等である。
 ここではむしろ、敢えて岡崎史明氏記載で、中将棋指南抄より、劣って
いると私が見ている、先獅子の規約だけ取り上げる。岡崎氏の記載は、
ほぼ次のようになっている。
 「敵の獅子に味方の駒が当たれば、これを取る事が出来る。

この時、敵の駒が味方の獅子に当たっていても、足(つなぎ駒)のある
場合は直ちに獅子は取れない。

一手間をおいてからでないと取れない。これを先(せん)獅子という。」
 次に、中将棋指南抄の増川氏の訳の説明は、ほぼ次の通りである。

「双方の獅子が尻駒に当たれば、先手から獅子を取る。後手はその次の手
で獅子を取る事が出来ず、一手置いてから取る事が出来る。」

つまり、先手の獅子に繋ぎ駒が必要であるという点を、中将棋指南抄は
落としており、その点では、岡崎氏の方が確かに正しいのかもしれないが。
しかしそれ以外に、

岡崎氏の記載では、”先手が獅子を取った時点の局面”を問題にしている

のに対し、

中将棋指南抄では、”これから獅子を切りあおうとしている局面”を論の
出発点にして説明している

点も、違うのである。

私は、中将棋指南抄のこの、局面の設定方式の方が判り易い

と、個人的には考える。なぜなら、岡崎記載では、先獅子の規則の適用範
囲が見えず、適宜拡大解釈すると、

自身の繋ぎ駒を背に、突進してくる相手の獅子に対する、自分の獅子に関
しては、繋ぎ駒が存在しなくなってしまう

からである。つまり、何時も一手置いてから取らなければならないのなら、
一見すると獅子に、特定の駒を利かせているように見えても、その特定の
駒は、相手の獅子につなぎ駒があり続けると、その相手の獅子を、次の手
では取り返せないので、つなぎ駒では無いようにも、

岡崎方式だと、誤解が生じる懸念がある

と、私は考えるからである。それに対して、元禄時代の中将棋の本である、
中将棋指南抄なら、

前の手で動かした駒には、それが獅子である場合には、その獅子に対して
は、先獅子の規則は、適用されず、獅子を取らそうなため、合い取りしよ
うとして、苦し紛れに仕掛けた、八つ当たりの犠牲者の獅子に関しては、
先獅子の規則が適用される事が、はっきり見えてくる

のである。その結果、岡崎史明氏が、うまく構成して、付け喰いを次の
項目で持ってきた結果、”付け喰いした獅子は、直ちに相手の駒で取ら
れる”獅子討ちの規則が、先獅子の規則が適用されるパターンの、そも
そも範囲外で、あるため合法である事が、

中将棋指南抄のように、適用範囲を具体的に絞れば、はっきり判る

事になる。なお、外国の中将棋愛好家と日本とで考え方が違うらしいのだが、
この事から、

中将棋の駒の動かし方ルールの制限則のうち、直前手で使われない獅子に
関しては、先獅子の規則が、恐らくもっとも高いプライオリティで、適用
されるらしい事が、ややぼんやりと見えてくる(外人組に、軍配が上がる)

という事も有るのかもしれない。実はここを押さえると、(1)幾つかの
規則要素が重なっていたり、(2)「成り麒麟がつなぎ駒となり、制限規則、
それ自身が、つなぎ駒か否かの、”つなぎ駒適格性”を決めているような、
トートロジィ模様」の厄介なケースに、

その駒の動かし方が、制限されるのか合法なのかを決定する、手がかりに
なるケースが多い

と、私は考える。こと先獅子の禁手に関しては、

岡崎史明七段は、中将棋指南抄の先獅子規則を、単純になぞった上で、
先手八つ当たり被害の獅子には、繋ぎ駒が必要である点を加えた方が、
更に良かった

のではないか。そうしていれば恐らく、”付け喰い”の項で、彼が”獅子
討ち”が、「直ちに出来る」事を、説明するために、”この場合”と書い
ている、「その」場合が、いったいどういう場合の意味なのかが、
現在のゲーマーには、より適切に伝わったのではないかと、私は現在疑っ
ているという訳なのである。(2018/01/13)

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