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朝鮮半島で指されるチャンギは中国シャンチーの改良品なのか(長さん)

”将棋さしすせそ 世界の将棋のカラクリ 日本将棋のひみつ”
宮川亮(2013)というPDFの論文が、web上に掲載されて
いる。個人的に私の目を引くのは、中国シャンチーと朝鮮半島で
指されるチャンギの、性能比較が行われている事だ。私にそういう
発想が無かったからではなく、

優劣を決定する能力が無い

ので、いとも簡単に、それをやってのけている、この論文のその部
分を、羨望の眼差しで読んだ。結論とて宮川亮氏の判断だと、駒の
動きが朝鮮チャンギの方が中国シャンチーより”「有意に大きい」
と判断され、朝鮮チャンギは、中国シャンチーの改良品”と判定さ
れていると読める。この論文にはその他、日本の将棋史関連の問題
が、多数の切り口で論じられている大作である。
 しかし他の問題については、ほぼ本ブログで、すでに立場を表明
した項目ばかりのように見えた。むろん、宮川亮氏の判断に、賛成
の部分もあれば、反対の項目もあるのだが。その中で、今述べた象
棋の論が、本ブログではいままで、右とも左とも判定できていない、
宙ぶらりんな論題と認識され、そのためこの論文の中でひときわ私
には、

中国シャンチーと朝鮮チャンギとで、ゲーム性が高いのはどちらな
のか

という課題に注意が行ったのである。
 そこで、前置きが長かったが、今回はこの、”将棋さしすせそ・・”
の宮川亮氏の、現代の外国の象棋の性能比較の結論の正否を、論題
にし、改めてこの問題に白黒を付ける努力を、本ブログでも、して
みることを試みた。
結論をまず述べる。中国シャンチーと朝鮮チャンギの比較に関する

宮川亮氏に反対の立場を、本ブログでは取りたい。

中国シャンチーに比べて、朝鮮半島のチャンギの方が、やや攻めが
鈍くなっていて、総体としたゲーム性能は、シャンチーの方がやや
高い

と、私は考える。
 では、以下に結論に至る説明をする。
 宮川亮氏の論では、象の行き所の増加と、動かせる範囲の増加で、
チャンギの方が、攻め駒が全体的に強いと判断されている。がこの
判断に、私はそもそも

賛成できない。

シャンギの象は塞象眼の升目が多くなっているので、シャンチーの
象と、総合的性能に、大差はでき無いと私は思う。なお彼の指摘す
る、漢/楚、士駒の動きの増加は、ディフェンスを強くするので、
逆向きだ。
 それより大きな差は、

チャンギの包が、シャンチーの砲と違って、駒を跳び越えないと、
動かせないという点が、攻撃力の低下となってより大きく効く

のではないか。
 チャンギの包は、シャンチーの砲から見ると、行軍将棋の地雷の
ように余り動けず、動かすのに苦労する駒に、私には見える。つま
りチャンギの包は、普通に動くときにも、他の駒を飛び越さなけれ
はならないというルールの制約が、特に終盤にはかなり効くように、
私には思えるのである。
 つまり、攻撃するポイントまで、運搬するのに苦労する駒に、チャ
ンギの包の場合、しばしばなるのではないか。
 だから、

砲と包の差の一点で、チャンギの攻撃力はシャンチーより下がると
見る

のが、本ブログの予想である。全体として攻撃性が強く、勝負が
付きやすいのは、中国シャンチーの方ではないかと、本ブログでは
考えると言う事である。
 他方”将棋さしすせそ・・”で、これと異なる結論が出てくるの
は、包の動かす手間に関する要因を、特に数値化して配点に加えて
は居無い、点数の付け方に問題があると、私は考える。
 なお、宮川亮氏は、”将棋さしすせそ・・”の中で、朝鮮チャン
ギが中国シャンチーよりも優れる根拠として、有力な戦形の数が多
い点を述べている。しかしこれについても、その数が少ないからこ
そ、うまく守らないと、シャンチーの陣は、崩されてしまうという
事であり、防御(ディフェンス)に比べて、攻撃(オフェンス)が
優勢で、激しく面白いゲームになって居る事を、示している一つの
例なのかもしれないと、私は疑う。
 ところで、ではなぜ朝鮮半島では、相手駒を取らないときには、
飛車のように動く、中国シャンチーの砲駒のルールを、わざわざ変
えたのだろうか。この原因について、私にきちんと解く能力は無い。
そもそも、シャンチーのデザイナーは、シャンチーを創造するとき
に、自分自身の棋力を、非常な努力で高めながら、この点を、さん
ざん考えたに違いない、プロの仕事だからだろうからだ。
 ただ、ひょっとすると、朝鮮チャンギのデザイナーが、中国シャ
ンチーが朝鮮半島に伝来した時に、それをあっさりと、崩してしまっ
たのは、次のような理由かもしれないと考える。

朝鮮半島で中国シャンチーが伝来して、それを指したときに、中国
シャンチーの砲のルールだと、攻め急ぎの象棋が指されやすかった

のではないか。つまり、中国での中国シャンチーのように、序盤定
跡に則っての中国シャンチーは余り指されず、合法なら砲を最初か
ら繰り出してゆくような象棋が、朝鮮半島では、伝来初期に、指さ
れる傾向が強かったのかもしれない。つまり、たとえば砲を

いきなり4進させるような手

である。むろんこのような、定跡外れの手は、相手が正しく対応す
れば、指した方の不利になるのが、中国シャンチーのゲームデザイ
ナーの結論だったはずなのだが。しかし、外国から伝来したゲーム
だったので、しばしばこの結果、伝来先の朝鮮半島では、へんな形
で、中国シャンチーの局面が進行してしまったのかもしれない。
これを、

韓国人のゲーマーは、中国シャンチーの砲駒の駒の動かし方ルール
に、急戦戦法を誘導させやすいという欠陥があるからだ

と、取ったのかもしれない。そのため、砲は、相手駒を取らないと
きにも、何か他の駒を飛び越さなければならないように、あるいは
その為に

弱体化されてしまった

のではないか。その結果、駒の強さの全体バランスが崩れ、卒駒は、
中国シャンチーの成り卒の動きを、最初から取れる等に、ルール
改変が行われる等、複数の変化が起こり、今の朝鮮半島のチャンギ
に、もしかすると、なったのかもしれないと私は疑う。
 その結果、我慢できないほどの差ではないにしても、中国シャン
チーに比べると、朝鮮チャンギの方が、わずかに、駒の動きが緩慢
で、勝ち負けが付かず、引き分けとなる確率が、実際には少し増え
てしまっているのではないかという気が、私にはする。
 外国のゲームであり、私にも馴染みは薄いので、自信は絶対とま
では行かないが。本ブログでは、この論題に対しては、以上の見解
でしばらく、様子を見て見る事にしたいと考えている。(2018/08/06)

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