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本ブログ普通唱導集大将棋。麒麟酔象鳳凰の配列は実在するのか(長さん)

本ブログの大将棋モデルでは、2段目の、平安大将棋に元々有る
2枚の猛虎の間に、左から麒麟、酔象、鳳凰と並ぶ配列が仮定され
ている。が、このような将棋は、

日本の将棋としては、他に全く知られて居無い。

示唆しているのは、後期大将棋で、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄に
準拠する限り、成り駒が麒麟、酔象、鳳凰と3枚だけであり、後期
大将棋では、この3枚がばらばら、本ブログの推定する普通唱導集
大将棋では、2段目に3枚が並ぶという、それらしさだけである。
 今回は、当の鎌倉時代に、麒麟、酔象、鳳凰、厳密には、
麒麟、釈迦(太子)、鳳凰という組合せが、古文書文献で示唆され
る例がある事につき紹介する事にしたい。なお、他の時代のもので、
麒麟や鳳凰が出てきて、釈迦に関連付けられる古い文書の文例は、
古語辞典の類等に出てくるが、時代が普通唱導集からは遠かったり、
中国の書物に出てくるので、証拠にならないものが多いと考える。
ともあれ、証拠となる文書は、以下の物である。

摧邪輪(一向専修宗選択集の中において邪を砕く輪)巻下(2/3
ほどの部分)。著者:高弁(東大寺~高山寺の僧。別名”明恵”)、
西暦1212年著(鎌倉旧仏教、岩波書店、1971年に記載。)

箇所は、”設我雖(下)作(二)此書(一)防(二)菩提心(一)
以(二)正道門(一)喩(中)群賊(上)、世有(下)如(二)
汝等(一)之罪人(上)、道心不(レ)可(レ)絶、聖道不(レ)
可(レ)滅、何強致(ニ)憂愁(一)乎。”という著者高弁の自問
いに対して、彼が答えた部分の一部である。

”昔より大人(聖人)が世に出るとき、鶏鳥は鳳凰を孕み、牝馬は
騏驎を産すと聞く。”

と記載され、聖人が出現するときに、麒麟と鳳凰が共に現われる事
が、西暦1212年の史料に書かれている。中国の言い伝えとして、
前から、似た構文は在ったと見られるが、日本で鎌倉時代に、麒麟・
鳳凰が、聖人と同時に出現するとの説が、注目されていた事を示す、
上は一例とみられる。ここで、麒麟だけ、鳳凰だけの片方のみだと、
麒麟、酔象、鳳凰と、将棋駒が並ぶ配列が考え出せるという証拠に
ならないと見られる点が、重要である。

なお、高弁、別名”明恵”は仏僧であるから、聖人とは仏教上の
聖人、つまり一例では、釈迦のような人物を指す事は、明らか

である。このフレーズから、麒麟、釈迦(酔象)、鳳凰が鎌倉時代
に3つ並ぶ将棋が、不自然で無い事が、証明できると見られる。
 なお、自問いの内容については、答えからほぼ想像できるが、
難しい字が無い割りには、レ点や一ニ点の他に、上中下点まで出て
きて、漢文が構造として難しく、私には正確には把握困難である。
 この文書は前に、鎌倉時代初期の興福寺の賭博に関連して紹介し
た、”興福寺奏状”と同じく、法然が開祖となったの浄土宗に、
打撃を与えるために作成された、在来仏教側の反撃文書であり、
この文書には浄土宗の悪口が、延々と書かれている(らしい)。
 ちなみに、この”昔より・・”一文は私が読み下したので、正し
いかどうかは、確約できない。書いてあった、岩波書店の”鎌倉旧
仏教”には、”摧邪輪(一向専修宗選択集の中において邪を砕く輪)”
は巻上だけ、田中久夫氏の校注が載っていて、巻中と巻下は漢文に、
返り点等が付いた文が、載っているだけだった。解説部分を読むと、
著者は、3巻をいっきに書いたのではなく、それぞれの巻が、だい
たい同じような内容で、別々に3回書かれたものらしい。このケー
スについては、

探していた文の表現が単純だったので漢文だけ載っていれば済んだ

のが、幸運だったと言う事だと、私は認識している。(2018/10/13)

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