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増川宏一著”盤上遊戯”のリスモマティのチェック(長さん)

以前に述べたように、ものと人間の文化史29
”盤上遊戯”で、戦争ゲームのカテゴリーで紹介
されている、12世紀フランス発祥とされる、
リスモマティは、戦争ゲームではなくて、チェス
類とみられる。今回は、増川宏一氏の紹介して
いるリスモマティが、チェス・象棋・取捨て将棋
型なのかどうかを、ゲームをしてチェックした。
 ものと人間の文化史に記載されているリスモマ
ティの駒の、初期配列と数字部分を、完全に同じ
になるようにコピーすると、以下の、初期配列を
示す図のようになると見られる。

リスモマティ初期.gif

 増川氏の解説だけを頼りに、取った駒の数値の
合計が、一例として図のメモ部のように、850
と差が無い方が勝利(目標値が850)として、
ゲームを行うとする。このときチェスや将棋のよ
うに、玉駒や駒の価値は、ルールだけからは自明
ではないものの、目標値が、一例850のときに
は、次ぎのように考えなければならない事が、指
し初めの前からほぼ判る。
 先手は、狛犬駒のうち、後手の”120駒”、
”190駒”以外の6枚を取れば、勝ちである。
120駒、190駒は、取りたくない駒。また、
その他の後手の全ての駒も、目標値が850のケー
スには、取りたくない駒となっている。
 後手は、先手の狛犬駒の全てと、近王駒の、
”002駒”の計9枚を取れば勝ちである。その
他の先手の駒は、係わりたくない駒である。よっ
て、目標値を850にしたときには、

先手の方にだけ、”近王002”が玉駒になると
いう状況が、明らかに発生している。

そのため、目標値が850の時には、

先手が、すこぶる不利なゲーム

になっている。
 ちなみに、増川氏が盤上遊戯で紹介したリスモ
マティは、数字の合計が、上の図で言う先手が
1292点、後手が1752点と、すこぶる差が
あり、不均衡である。元ネタもそうなっていたか
ら、増川氏はその通り書いただけとみられるが、

上図はその点が妙であり、先手と後手を公平にす
る目標値は、設定しにくい。

ちなみに、狛犬駒の点数の合計も、上図に入れた
通り、先手が848点なのに対し、後手が
1160点と大きく差があり、その点でも先手と
後手が公平な目標値は、ほぼ作れないとみられる。
 実際ゲームを開始すると、後手が先手の、逃げ
足の遅い玉駒、”近王002”駒を、先手の狛犬
駒を蹴散らしながら、後手の、先手に取られる危
険性の無い、ウルトラ大駒の”狛犬120駒”と、
”狛犬190駒”とで追いかける、以下のような
展開となる。

リスモマティ途中.gif

ここから、少し進めば、以下のような局面になり、
”近王002”駒が詰まされて、先手はこれ以上
ゲームをする気が無くなって投了するとみられる。

リスモマティ投了.gif

 後手に比べて先手が、大きく不公平という意味
で、ゲームとして、極めて難があるが、実際にプ
レーヤーがしているのは、目標値の取り方によっ
て、たまたま玉駒になった、ほぼ近王に限定され
る特定の相手の駒を、詰ますゲームになっている
という事である。
 つまり旨く出来ているように私には見えないが、

実質的にリスモマティは、チェスの類だ

と言って良いと私は考える。
 なお、webの英文の情報を読める範囲で見た
が、駒を取るのに実際には、条件が有るようで、
好き放題に、狛犬で狛犬が取れるとも、限らない
ようだ。その点を加味しても、チェスに近い事に、
変わりは無いだろう。
 そこで、ものと人間の文化史29、盤上遊戯で
紹介されているリスモマティに戻ると、増川氏は、
このゲームを、完全には紹介していないが”目標
値に近くなるように、相手駒を取れば勝ち”とい
う、増川氏の文面からは、これが、戦争ゲーム
の中でも、チェスに近いものであるという、疑い
が、かなり強いと言う結論になるだろう。
 そう認識した上で、ゲーム具という観点から
更に見てみると、本ブログで紹介した狛犬、白象、
近王は、実際には立体造形で区別されている。
 しかしながら、
同じ狛犬でも捕獲できる駒と、相手が取りたくな
い狛犬駒という区別は、

”書かれた数字で区別される”という意味で、
書き字駒の要素が半分ある。

また、同じ近王でも、邪魔駒の機能を持つ近王と、
玉駒の近王とは、目標値の設定により、駒に書い
てある値で区別が決まるから、やはり、それにつ
いても”書かれた数字で区別される”という意味
で、書き字駒の要素が半分ある。
 よって、フランスで12世紀に考案された、
リスモマティも、中国シャンチー駒や日本の将棋
駒のように、書き字駒の要素が、全部とは言えな
いが、部分的に存在して、それはフランス人が、
たまたま工夫した結果と推定するのが自然である。
 以上のようにして、書き字駒を使うのが、中国
文化圏の特徴であるとは、フランス産のゲームを
実際にしてみると、半書き字駒を使ってチェスを
しているようであり、いつもそうだと言えない為、

定説には疑問符が付く

と言えると、結論できるのである。(2019/08/07)

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